◆「保護者に過分な負担」

浜松市は、夏休み中に小学校のプールを児童が利用できる「プール開放」を来年から廃止する方針を固めた。無料で利用できることなどから人気があり、存続を望む声が多いが、児童を監視する保護者の負担が大きく、苦渋の決断を下した。十月ごろまでに正式に決定する。

プール開放は、子どもの体力づくりや施設の有効活用を目的に、一九九六年に始まった。市がPTAや自治会などでつくる利用運営委員会に委託し、一回三時間程度で七、八月に十〜十六回開放してきた。開放する学校の児童が無料で利用でき、二〇一六年度までの五年間では、延べ約十三万四千人が参加。今年は全九十七校のうち三十一校で実施した。

開放は一回につき、応急救護講習を受けた四人以上の指導員を配置することが条件。

しかし、大小のプール合わせて約二百人が入れる学校があるのに対し、監視するのは最低で四人。会場設営や消毒、水質検査も保護者が担う現状があり、市スポーツ振興課は「保護者に過分な負担が生じている」と話す。

これまでに市内で重大な事故は発生していないが、八月一日には保護者七人が監視していた三重県四日市市の小学校のプールで、三年生の男子児童が溺れて一時意識不明になった。保護者によるプール開放は、政令指定都市二十市のうち、千葉市や川崎市などの十市が既に取りやめている。

同課は昨年五月から廃止の検討を始め、参加校の利用運営委員会を対象にアンケートを実施。九割近くが存続を希望していたが、今春に学校に聞き取り調査を行った上、事故発生時の責任の所在などを重視して廃止に向けて動き始めた。

加藤範行課長は、指導員が居眠りをしていたときに事故が発生した場合を例に挙げ、「指導員は責任を免れないが、保護者にそこまでの負担を強いていいのか。子どもたちの居場所がなくなるのは申し訳ないが、子どもと保護者を守るため」と理解を求めている。(石川由佳理)

配信2017年9月7日
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20170907/CK2017090702000101.html