[東京 7日 ロイター] - 海外勢の日本株売りが続いている。日本経済や企業業績が悪化しているわけではないが、地政学リスクが高まるなかで、積極的に買う材料にも乏しく、さえない展開となっている。
ヘッジファンドなど短期筋が売りの中心とみられているが、バリュエーションも米株などと比べ低いだけに、円高リスクが後退すれば関心を示す長期投資家も少なくない。
欧州系の海外投資家の日本株に対する見方は以下の通り。
●日本株はニュートラル、円高に懸念
<ドイチェ・アセット・マネジメント アジア太平洋地域最高投資責任者 ショーン・テイラー氏(香港在勤)>
アセットクラスとしては、債券より株式を選好する。株式では、米国がアンダーウエート、欧州と新興国はオーバーウエート。日本は、他地域との相対比較でリターン優位性がないこと、カタリストを欠くことから、ニュートラルとの判断だ。
日本経済は着実に回復しており、企業業績は堅調で見通しもいい。雇用はタイトで、年後半には賃金や消費に寄与するだろう。バリュエーションでも日本株は過去の水準や債券と比べて割安だ。予想PER(株価収益率)でみれば日本は約14倍、米国は約18倍。ただしROE(株主資本利益率)でみれば、日本は9%程度で、米国の16%と比べて大きく見劣りする。
一方、足もとで再び円高基調が強まっており、今後輸出セクターの業績見通しが下方修正される恐れがある。短期的には、地政学リスクが相場の重しとなる。リスクオフが強まれば、逃避通貨とされる円は買われるだろう。
総合的には、日本株は米国より魅力があるとはいえ、欧州と新興国の方がより上値余地がある。日本株の投資判断引き上げには、他の地域をアウトパフォームできるカタリスト、および円の下落基調を確認することが必要になる。
●日銀金融緩和政策の転換を警戒
<BNPパリバ・アセットマネジメント・フランス マルチアセット・ソリューションズ インベストメント・スペシャリスト ピエール・アモリ・タバレイ氏(パリ在勤)>
われわれは現在、日本株をニュートラルとしている。
日本株については、相対的に低いバリュエーション、堅調な企業業績もポジティブな側面だ。さらに日銀の金融緩和によるサポートも続くはずだ。
にもかかわらず、日本株をオーバーウエートしない理由の1つは、株価とドル円の相関性が低下していることだ。また、日銀の金融政策は相場をサポートしており、短期的には変更されると予想してないが、2018年に黒田総裁が続投したとしても、日銀も他の中銀に倣って緩和的な政策の修正に動くのではないかとの懸念を持っている。
現在オーバーウエートは、米国不動産と新興国債券(自国通貨建て)だ。
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2017年9月7日 / 11:37 / 4時間前更新