「太陽が笑っている」――。20XX年のある日、スモッグを通して太陽を直視できる北京市では大騒ぎになった。ぱっくりと口を開けたような黒いしみが現れたのだ。巨大な黒点の長さは地球の30〜40個分。太陽表面の大爆発「スーパーフレア」の兆候だった。爆発すれば、通信障害や人工衛星の機能停止、やがて世界規模の大停電が起きる。太陽天文台の専門家たちはいう。「爆発まで1日なのか、1週間なのかわからない」。スーパーフレアは、私たちが慣れきった電子機器文明の消失をもたらすかもしれない。

 フレアは、太陽の表面で起きる爆発だ。そのエネルギーは水爆の10万個〜1億個分。規模と頻度は反比例し、小さいフレアは日に3回ほど起きるが、大きなものはめったにない。

 地球は「地磁気」という磁場に覆われ、太陽や遠い宇宙からの放射線から守られている。この範囲を「磁気圏」と呼ぶ。フレアで大量のプラズマなどが放出され、磁気圏にぶつかると磁場が乱れて磁気嵐が起きる。この影響で、地上の送電線などに大きな電流が流れることがある。

 記録に残る中で最大のフレアは1859年に起き、欧米で電信機などの火花放電による火災が多発した。電気に頼る現在だと、1兆〜2兆ドルの損害が生じ、修復に4〜10年かかるとの試算もあるという。1989年には、カナダのケベック州で9時間に及ぶ大停電が起き、600万人に影響した。経済的損失は100億円超とみられる。スマホやGPSが普及した現在、機器が壊れたり、通信が途絶えたりすることによる被害は、さらに甚大になる可能性がある。

 生まれたばかりの恒星では太陽フレアよりはるかに激しいフレアが起きることが知られる。2000年ごろ、太陽と同じ種類の太陽型恒星でも過去の観測記録から数例のスーパーフレアが見つかった。だが、太陽型恒星では、近くに巨大な惑星があることが発生の条件で、太陽では起きないとされていた。

■太陽でも起きる可能性

 京都大の柴田一成教授は、太陽型恒星がスーパーフレアを起こす可能性について調べた。

 米国の宇宙望遠鏡「ケプラー」は、約8万個の太陽型恒星を常に観測しており、スーパーフレアがあれば、明るさの変化からそのエネルギーを割り出せる。学生5人と膨大なデータを調べると、意外な結果が出た。

 2009年4月〜12月に約8万3千個の恒星のうち、148個で365のスーパーフレアが見つかった。いずれも超巨大な黒点があったが、近くに大きな惑星の存在が確かめられた例はなかった。太陽では起きないという説は根拠を失ったと言える。

 スーパーフレアが起きた恒星の…

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http://www.asahi.com/articles/ASK98558JK98ULBJ00H.html
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