緑豊かで「都会のオアシス」として親しまれている大阪市の大阪城公園の堀で、市公園条例に基づき禁じられた釣りが横行している。管理会社によると、昨年度は延べ1900人以上、本年度は7月までに約550人に警備員が注意した。地道に声掛けを続けるが釣り人は減らず、担当者は「いたちごっこだ」と頭を抱えている。

 「堀で46センチのブラックバスを釣ったこともある」。8月下旬の夜、大阪城公園の植え込みに隠れるように釣りをしていた若い男性が記者に明かした。「警備員に見つかったらやめる」と気にも留めない様子だった。

 堀の総面積は一部の空堀も含め東京ドーム約5個分の約23ヘクタールと広大で、釣り人の多くは何者かが放流し、増えたとみられるブラックバスを狙う。「大阪城パークセンター」で施設管理を担う前田久和さん(55)は禁止の理由を「ルアーや糸、釣った魚を路上に放置する人がいる。景観が損なわれるし、堀に落ちる危険もある」と説明する。

 罰則は5万円以下の過料で、悪質なケースは警察に通報する。禁止を呼び掛ける看板を数十個設置し、警備員は毎日巡回。注意しても移動して釣りを続けるケースがあり、公園を出るまで見張るのがルールだ。

 前田さんは「巡回が手薄な早朝や夜間の釣り人が多い」と指摘。「何が悪いねん」と文句をつけられたり、説得までに1時間以上かかったりすることもある。

 条例で釣りが規制された堀は各地にある。佐賀城公園(佐賀市)でも釣り人が後を絶たず、担当者は「近くに小中学校があり、釣り具で子どもがけがをするかもしれない」と懸念する。一方、名古屋城(名古屋市)や姫路城(兵庫県姫路市)の堀では目立ったトラブルはないという。

 大阪城公園事務所の上野あづさ所長(52)は「大阪城は海外からの観光客も多い。マナーが悪いとイメージ低下になってしまう」と話した。
http://www.sankei.com/smp/west/news/170909/wst1709090068-s1.html
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