【ロシア外交】これは「警戒」で済ませうるレベルではなく、日本は断固としてこれを「粉砕」する策を謀って決行するほかない。この“重大な危険”とは何か。

 「アメリカ・ファースト(=米国の国内政策優先)」を掲げるトランプの外交政策は、今後は米国の対外介入主義の軍事行動をかなり制限することは間違いない。

「世界の警察官」に徹した元・共和党大統領のブッシュ(息子)大統領(2001〜2008年)に比すれば、顕著に相違するだろう。

だからと言って、民主党最左翼オバマの共産主義者としての核廃絶への絶叫や極度の怯懦からの対シリア化学兵器制裁尻切れトンボなど、オバマ流“臆病アメリカ・ファースト外交”の異常外交に比較すれば、五十歩百歩で変わらないだろう。

 とりわけ、オバマが断行した過激な国防費削減策を、《Great America》を掲げる以上、トランプは反転させるだろうから、この問題だけでも米国の衰退や退却トレンドがスローダウンされ明らかに歓迎できる。

トランプが米国の核戦力の増強に舵を切れば、それは「使用」という“介入”ではないから、「アメリカ・ファースト」とは齟齬を起こさず、世界平和に貢献できる。トランプは増強するだろう米国海軍力についても同様。

 しかし、トランプの対外政策で、我が国にとっても、世界にとっても、“重大な危険”を漂わせているものが一つある。

これは「警戒」で済ませうるレベルではなく、日本は断固としてこれを「粉砕」する策を謀って決行するほかない。この“重大な危険”とは何か。

トランプのロシアとの関係の事である。トランプのプーチンとの異様な蜜月ムードの事である。トランプのロシア観は、日本にとって、ヨーロッパにとって、中東にとって、これからロシアの侵略と膨張を誘発していく。

 朝鮮戦争をスターリンに決断させた、“ロシアの操り人形”アチソン国務長官の発言(1950年1月)。

その前の共産主義者ジョージ・マーシャルの毛沢東と通謀しての蒋介石を支那本土からの追放協力などが、戦慄をもって頭によぎる。

そして何よりも、スターリンに魅了されたフランクリン・ルーズベルト大統領を思い起こす。

ルーズベルト大統領は、1945年2月8日の僅か30分の会議で、スターリンが提案した“悪魔の(対日)ヤルタ秘密協定”を一字も一行も異を唱えず、そのまま了解した。

 トランプは、「第二のアチソン」ではないのか。トランプは「第二のジョージ・マーシャル」ではないのか。トランプは“ルーズベルト大統領の再来”ではないのか。
等々の不安は、2016年5月に「トランプが確実に米国大統領になる」「トランプの米国内政は、クリントンより百倍以上アメリカを益する」と確信する前から、ここ一年間、私の脳裏から消えた事はない。

世界に“プーチンの操り人形”が二人いる。反・国防主義の安倍晋三と“外交音痴”ドナルド・トランプ

 リトアニアの首都ビリニュスに、トランプが共和党候補に選出された直後の5月13日頃、実に意味深長な壁画が現れた。トランプ氏とプーチン氏がキスしている縦横2b×4bほどの絵だ。

これをネットの画面で見ながら思い出したのは、松岡洋右が、1941年4月、スターリンとモスクワの駅頭でキスしている光景。

 満洲/樺太/北海道へのロシアの侵略占領を可能とする日ソ中立条約という“日本騙し”に成功した喜びの余り、スターリンは“対ロ売国奴”松岡洋右に抱きつきキスした

松岡に日ソ中立条約を裏で命じて締結させたのは、“スターリンの操り人形”近衛文麿であった。そして、来る12月15日、山口県長門市で、国後島・択捉島をロシアに貢ぐ安倍晋三も、松岡洋右と同様、ロシアのプーチンにキスされるのだろうか

安倍晋三は、松岡洋右の親族である。1941年の「スターリン-松岡洋右」の抱擁キスは、七十五年を経て、2016年の「プーチン-安倍晋三」の抱擁キスで再現されようとしている。

 こう考えながら、もう一度、ビルニュスの壁画を眺めていると、トランプのところを安倍晋三に置換えた“プーチン・安倍のキス抱擁”の壁画が日本のどこにもないことに気が付いた。日本には愛国者が完全に消滅して一人もいない。