同じ幼稚園の同級生に、重い障害を持った子がいた。
その両親は幼稚園卒園後、普通学校にするか特別養護学校に進学させるかで迷った。
幼稚園の保護者たち(俺の親たち)は、みんな仲良かったので、
一緒に普通学校へ行こうと説得した。
子供たちが面倒見てくれるので心配ない。私たち全員で支援するから普通学校に申請しましょうと。
でも、その両親は特別養護学校へ行かせた。

両親でさえ苦労しているのだから、周囲の子供たちは絶対に迷惑するし、犠牲にさせたくないこと。
専門的な施設や専門職員がいるから安心できること。
普通ではないという厳しい現実を早い段階から本人に自覚させた上で、
今後、同じ境遇を持つ友人を作るほうが将来プラスになるのではないか。
これから多感な時期を迎えるにあたり、自分1人が他の子と違う現実に直面した時、
心に壁を作る、あるいは、イジメを受ける可能性があること。
この多感な時期に、同じ境遇を持つ「生涯の親友」を作ることで、
今後、差別や偏見からの耐性を付け易いのではないか。団結して乗り越えるチカラになるのではないか。
同じ境遇を持つ親の交流で、自分たちも情報を共有して学びたい。

という明確な理由で、一軒一軒回ってお礼を述べながら、特別養護学校へ入学させた。
上記の事は、俺が大人になって両親から聞いたこと。