http://jp.reuters.com/article/storm-irma-eye-idJPKCN1BM0KU

Phil Stewart

[ハリケーン・イルマの目、9日、ロイター] - 空が暗くなると、稲妻が光り、米空軍の気象観測機「WC−130J」のキャビンが急に大きく揺れた。機体は風を切りながら、大西洋で観測された最大級のハリケーン「イルマ」の目を目指して進んでいた。

ターボプロップエンジン4基を備えたこの機体を操縦しているのは、過去22年間で約40から50のハリケーンに飛び込んできたジム・ヒッターマン予備役中佐(49)だ。

ハリケーンはどれも1つ1つ異なるが、ヒッターマン氏は、ハリケーンに飛び込む体験を、自動洗車機になぞらえる。ただ、1つだけ大きく異なる点があるという。

「自動洗車機を通過中に、ゴリラが何頭も屋根に飛び乗ってくるみたいなものだ」。ヒッターマン氏はそう例える。時には揺れが激しすぎて、計器が読めないこともあると言う。

ロイター記者は8、9日の両日、「ハリケーン・ハンター」として知られる空軍観測部隊に同行した。ハリケーン・ハンターは、イルマのようなハリケーンの中心に危険を冒して飛び込み、人命の救助に役立つ気象予報に必須のデータを直接収集している。

気象衛星にはできない役割だと専門家は言う。

「衛星で、ハリケーンの強さや大きさを推測することはできる。だが、飛び込むことでしか、中心の位置や、構造、最大風速に関する正確な数値は得られない」。米国立ハリケーン・センターの元所長で、現在は気象専門テレビ局に勤務するハリケーン専門家リック・ナブ氏はそう語る。

一般にハリケーン・ハンターと呼ばれるのは「第53天候偵察中隊」で、ミシシッピー州ビロクシにあるキースラー空軍基地を拠点としている。1943年に米陸軍航空隊のパイロット2人が、テキサス州近くで発生したハリケーンの中を突っ切って飛べるかどうか、度胸試しをしたことに由来があると隊員たちの間で語られている。

今日では、ハリケーン・ハンターの任務のほとんどは米空軍の予備役が担っており、数日から数週間ストームを追いかけた後は、民間の仕事に戻るという。

ヒッターマン氏は、普段はデルタ航空のパイロットで、趣味でオートバイに乗っている。

今回の任務に同乗している気象学者のニコル・ミッチェル少佐は、経験豊かなテレビニュースの気象解説者で、8カ月の男の子の母親でもある。普段は、ミネソタ州に住んでいる。

ミッチェル氏は、自分が収集するデータが正確であればあるほど、イルマや他のハリケーンが近づいた時に避難警報を出す判断の根拠となる予報も、より正確になると考えている。

「私たちの仕事は、確実に役に立っている」と、彼女は断言する。
(リンク先に続きあり)

2017年9月11日 / 09:21 / 4時間前更新