自身や血縁者の将来の病気に備えて赤ちゃんのへその緒の血液(臍帯血=さいたいけつ)を保管する民間の臍帯血バンクで、約2100人分の臍帯血が契約終了後も保管されていることが12日、厚生労働省の調査で分かった。厚労省は廃棄などの適切な対応を求めるとともに、バンクに対し業務内容などを届け出るよう通知を出す。

調査は、他人の臍帯血を国に無届けで投与した再生医療安全性確保法違反事件を受け、厚労省が全国の産科施設から情報を得て初めて実施した。同省が臍帯血を扱う業者として活動を確認したのは7社で、6社が調査に回答した。

6社のうち臍帯血を保管している業者は5社で、計約4万3700人分を保管。残る1社は臍帯血を医療機関などに引き渡す業務をしており、これまでに第三者のがん治療などのため160人分を提供したと回答した。今回の事件に関連する業者とみられる。

一方、血縁者への治療に使われたのは18件に留まり、約2100件は保管契約終了後もそのまま保管されていた。契約者の意思が確認できなかったり、廃棄に伴い凍結保存用タンクを開くと他の臍帯血の品質に影響が出ることを懸念したりしたためとみられる。

厚労省は、契約終了後の臍帯血の所有権や処分方法が明らかでないことを重視。契約終了後は返還か廃棄処分を原則とする契約書のひな型を近くバンクに提示するほか、同省ホームページで臍帯血バンクについての情報提供を始める。

配信2017.9.12 10:04更新
産経ニュース
http://www.sankei.com/life/news/170912/lif1709120015-n1.html