屋根に火災が燃え移った小田急線の車両=10日、東京都渋谷区(読者提供)
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沿線から小田急線の電車に延焼した火災は、火災現場脇に非常停止した電車に火が燃え移るという異例のケースだった。また、車両内部は燃えにくい素材で作られているが、外部の部品に火が燃え移るという事態も、関係者にとって想定外だったとみられる。警察や消防の連携不足も指摘されており、一歩間違えれば大惨事を招く恐れもあった。専門家からは再発防止に向け、鉄道会社や警察、消防など関係機関による連携強化を求める声が上がった。

 小田急電鉄によると、東京消防庁から同社の運輸司令所に火災の一報が入ったのは10日午後4時9分。発生場所を確認していた同11分、警視庁代々木署員が踏切の非常停止ボタンを押し、電車を停止させた。

運転士は白煙を確認していたものの、火災だとは思わず、マニュアル通りに踏切内の安全確認を実施。同19分に電車を再び発車させたが、現場にいた消防隊員から「電車の屋根に燃え移っている」と指摘され、再び停車させた。炎は電車が最初に停車した約8分間に車両に燃え移ったとみられる。その後、乗客の誘導を開始し、避難完了は火災の一報から約30分後だった。

 国土交通省によると、線路と建物が隣接する首都圏では、沿線火災が鉄道運行に影響するリスクが指摘されている。しかし火災現場のすぐ近くで電車が停止した例は過去になく、今回のケースは「非常にまれ」という。

また、車両は法令により燃えにくい構造や材質が求められている一方で、上部には燃える可能性のある部品なども使われているという。鉄道アナリストの川島令三氏は「車外からの延焼は、鉄道会社にとっても想定外の事態だったのではないか」とみる。

 今回の延焼は、鉄道会社や警察、消防が適切な連携を取って停車場所を調整していれば防げていた可能性が高く、川島氏は「運輸司令所と現場の連携を改めて検証する必要がある」と指摘。小田急電鉄も今回の火災を踏まえた対策を検討する方針を示している。

配信2017.9.11 22:53更新
産経ニュース
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