全内科常勤医退職を表明 くらて病院 「町長が逸脱した権限行使」 徳島町長は否定「無責任」
2017年09月12日 06時00分
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 鞍手町の地方独立行政法人「くらて病院」の院長を含めた内科常勤医師6人全員が来年3月末までに退職を表明している問題が11日、町議会一般質問で取り上げられた。病院職員約270人は「町長独断の逸脱した権限行使で町への不信感が募った」と徳島真次町長への要求書、町議会議長への嘆願書を提出している。徳島町長は要求書の内容を全面的に否定した上で「6人の医師が辞めるのは無責任」と話している。
 要求書などによると、徳島町長の「逸脱した権限行使」として(1)事務統括・新病院建設担当の副理事長を退職に追い込んだ(2)外部理事3人を含む役員構成を指示した−など6項目を挙げ、6人の医師の診療継続が困難と主張している。内科医の退職に伴い、産業医科大病院からの医師派遣も困難になるという。要求書などは病院職員約330人の大半の署名を添え、8月30日付で町と議会に提出された。
 一般質問では、無所属の岡崎邦博議員が嘆願書の内容などをただした。徳島町長は6項目全てについて否定。取材に対して「6人の医師の退職はあるまじき行為。町として対抗策を考えていかなければならないが、まだ話し合う余地はある。町民にも説明したい」と語った。
 一方、病院関係者は「内科医がいなければ外科の手術も困難になる」「このままでは病院の存続が危うい」と危機感を募らせている。8月に就任した河野公俊理事長は「各大学を回っているが、常勤医師の確保は厳しい。地域医療を守るため、今後もできる限りリクルート(求人)は続ける」という。
 くらて病院は、元炭鉱の病院を町が譲り受け、1965年に町立病院として開設。2013年に地方独立行政法人に移行した。町で唯一20床以上の入院施設を持つ医療機関。17診療科で、222床。1日220〜230人の外来がある。町は老朽化などを理由に移転新築を予定。同病院整備基本構想では18年度着工、20年度完成を目指している。