http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170913/k10011137171000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_014

イラクのクルド人自治区で今月下旬に予定されている独立の賛否を問う住民投票について、アラブ人が多数を占めるイラク議会は、12日、国の一体性を脅かすものだと非難して、実施に反対する決議を採択し、民族間の対立が深まりかねない状況です。

イラク北部のクルド人自治区では、予算配分などをめぐって、中央政府への不信感を募らせたクルド自治政府が、今月25日、独立の賛否を問う住民投票を行う予定です。

こうした中、アラブ人が多数を占めるイラク議会では、12日、議員80人が連名で提出した住民投票の実施に反対する決議が賛成多数で採択されました。
決議では、住民投票は憲法上、根拠がないものだと指摘したうえで、国の一体性を脅かすものだと非難して、中央政府に対し投票を阻止するためのあらゆる手段を講じることを求めています。
これを受けて、イラクのアバディ首相は「対話以外に選択肢はない」と述べ、投票の中止に向けた説得を続けていく考えを強調しました。

一方、クルド自治政府側は、決議に反発して、すぐに記者会見を開き「脅しには屈しない」として、あくまで投票を強行する姿勢を示し、民族間の対立が深まりかねない状況です。

この問題をめぐっては、トルコやイランなどの周辺国のほか、クルド自治政府を支援してきたアメリカも、地域の安定を損なう上、過激派組織IS=イスラミックステートとの戦いに影響するおそれがあると懸念し、クルド自治政府に対し、投票を見送るよう促しています。

9月13日 4時26分