足立区は12日、国の貸し付け型の奨学金制度などを利用している生活困窮世帯の大学生らに対し、大学等入学準備金として上限15万円、奨学金返済金として上限100万円をそれぞれ助成する「新・足立区育英資金制度」案を発表した。区によると、同準備金の支援助成制度の創設は全国初という。区議会で承認されれば、10月下旬にも同準備金支援助成制度利用者の募集を開始する。

 同区では、区の大学の育英資金貸し付け制度の応募状況が、平成22年度の60人をピークに減少傾向にあり、28年度には35人にまで減少。区は背景に(1)区の育英資金は他の制度との併給を認めていないため、金額面で有利な都や国の制度を利用する人が多い(2)区の育英資金については、保証人2人を求める要件が障害になっている(3)大学進学費用は返済負担が大きい−などの課題をあげた。

 このため区は、他の奨学金制度などとの併用を認め、児童養護施設入所者らについては、保証人を免除する方針へ転換。さらに区に6か月以上在住し、大学などに入学する「国の教育ローン」利用者で、生活保護受給または区民税所得割が非課税の世帯、児童養護施設等入所者ら計200人に、大学等入学準備金上限15万円を助成する制度を創設。日本学生支援機構の第1種奨学金を利用する大学生らに、奨学金返済金として上限100万円を支援する制度も設けた。

 同案の創設にあたり、近藤弥生区長は「(学生らが)国と都の制度を活用して、大学進学へつなげられるよう区の制度を整備した」などと話した。

http://www.sankei.com/region/news/170913/rgn1709130068-n1.html
2017.9.13 07:04