自民党の憲法改正推進本部は12日の全体会議で、安倍晋三首相が打ち出した憲法9条1項、2項を維持して自衛隊の存在を明記する改正について、次の9条論議の際に条文の形の試案として提示する方針を確認した。ただ、会議では戦力不保持と交戦権の否認を定めた2項の削除を求める意見が続出。執行部は首相案でまとめることができず、2項を削る2012年の党改憲草案と並列で議論を行うこととなった。

 推進本部が議論を再開するのは約1カ月ぶり。9条の議論は6月に続き2回目となる。

 保岡興治本部長は冒頭あいさつで、「自衛隊を憲法に明記するのは、具体的にどういう条文のイメージかを示さないと、議論が先に進まない」と語り、首相案の具体的な条文を示す方針を表明した。他党も賛成しやすい案として首相案で意見集約する流れをつくる狙いだった。

 全体会議は、「自衛官が憲法違反といわれず、胸を張って任務遂行できることを優先してほしい」(佐藤正久・外務副大臣)と首相案支持の意見で始まったが、その後異論が噴出。石破茂元防衛相は「交戦権なき自衛権という概念は存在しない」と主張し、「『国防軍の保持』のどこに問題があるのか」と党草案を議論のテーブルに載せるよう求めた。

 結局執行部は、次回の9条の議論では草案の内容も引き続き検討すると引き取らざるをえなかった。

 いまのところ次の9条議論の日程は未定。秋の臨時国会で党の案を各党に示し、来年の通常国会で国会発議という日程を描くが、時間的余裕はなくなりつつある。(岩尾真宏)

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