経営再建中の東芝は、決定が遅れている半導体子会社の売却先について、“日米韓連合”の中核であるアメリカの投資ファンドと今月下旬の契約を目指して協議していくという覚書を13日に交わしました。ただ、東芝と半導体事業で提携するアメリカのウエスタンデジタルが、ほかのグループへの売却を阻止しようとしていることなどから、交渉はなお曲折も予想されます。

東芝は、半導体子会社を売却して、来年3月末までに債務超過を解消することを目指していますが、アメリカのウエスタンデジタルは、ほかのグループへの売却を阻止しようと裁判所への申し立てを行っています。

これを踏まえて、東芝は、ウエスタンデジタルのグループと集中的に売却交渉を進めましたが、将来の経営の主導権などをめぐって両社の主張は隔たったままです。

一方で、東芝がことし6月、いったんは優先交渉先に決めた“日米韓連合”の中核であるアメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」は、ウエスタンデジタルの申し立てに対する裁判所の判断が出なくても、買収資金を払い込むなど東芝の意向に沿う追加の提案を行いました。

こうしたことから、東芝は13日に開いた取締役会で、ベインキャピタルのグループと今月下旬の契約を目指して協議を加速することを決めました。

そのうえで、東芝は、ベインキャピタルとの間で、契約の締結を目指して協議していくという覚書を交わしました。

ただ、東芝は、今後、ウエスタンデジタルが歩み寄る可能性も踏まえ、売却先の候補としては排除しない方針です。

また、ベインキャピタルのグループには、韓国の半導体メーカーであるSKハイニックスが買収資金を融資する形で加わっているため、各国の競争法の審査を早期にクリアできるかという課題もあり、売却交渉の行方はなお曲折も予想されます。

■ウエスタンデジタル「極めて遺憾」

東芝がアメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」のグループと覚書を交わしたことについて、ウエスタンデジタルは「東芝の行動を極めて遺憾に思う。当社は東芝との継続的な対話に柔軟で建設的な姿勢で臨んできたが、東芝が同意なしに韓国のSKハイニックスやベインキャピタルが率いる連合との取り引きを継続しようとしていることに驚きを禁じえない」というコメントを発表しました。

■優先交渉 なぜ再び日米韓に

東芝が半導体子会社、東芝メモリの売却交渉を優先的に進める相手を、ウエスタンデジタルから再び“日米韓連合”に切り替えた背景には、ウエスタンデジタルとの意見の隔たりが埋まるめどが立たないことがあります。

東芝は、ことし6月、政府が主導してまとめた“日米韓連合”を優先的な交渉相手に決めましたが、ウエスタンデジタルが裁判所に交渉の差し止めを求める申し立てを行っているため、交渉は頓挫していました。

東芝は、来年3月末までに売却益を得て債務超過を解消し、株式の上場を維持したいため、売却交渉を急ぐ必要に迫られています。

こうした状況を踏まえて、政府は一転して、ウエスタンデジタルのグループに売却するための交渉を急ぐよう、東芝への働きかけを強めました。
そして、東芝は今月6日の取締役会でウエスタンデジタルのグループへの売却を目指して、調整を急ぐ方針を確認しました。

交渉の中で、東芝は、各国の競争法の審査を早期にクリアするため、今後10年にわたって、ウエスタンデジタルが握る東芝メモリの議決権は15%以内に抑えるよう求めていました。

しかし、ウエスタンデジタルは、この条件を受け入れないうえに、東芝に対し、買収資金の一部を融資するよう求めました。さらに、東芝とウエスタンデジタルが共同運営している三重県四日市市の半導体工場について、完成した半導体製品を分け合う比率についても、ウエスタンデジタルの取り分を増やすという新たな条件を突きつけました。
この要求は、東芝にとっては、半導体事業の収益が目減りするうえに、取引先に約束した量の半導体を供給できなくことにもなります。

東芝の社内ではウエスタンデジタルへの不信感が高まり、ウエスタンデジタルへの売却を急ぐよう主張していた経済産業省もその方針を事実上、撤回しました。

残された時間が少なくなる中、東芝は再び、“日米韓連合”の中核であるベインキャピタルを優先的な…

※以下ソース先でお読み下さい

9月13日 16時13分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170913/k10011137581000.html