マツダは14日、3列シートで大型の多目的スポーツ車(SUV)の新型車「CX―8」を発表した。12月14日にまず国内向けに発売する。アジアなど海外向けは今後検討する。新型車の国内投入は2015年の小型SUV「CX―3」以来、約2年ぶり。同社は17年度中にミニバンから撤退する。注力するSUVの国内最上位モデルとしてCX―8を投入し、多人数利用の需要を取り込む。

 3列目のシートについて、身長170センチメートルの大人が座っても足元に十分な空間ができるように設計した。「補助席のようではなく、普段から使えるように快適性を追求した」(商品本部)。全長は4900ミリメートル。タイヤとタイヤの距離であるホイールベースを競合メーカーのSUVと比べて長い2930ミリメートルとした。

 2列目シートの中央にコンソールボックスがある6人乗りと、コンソールがなく、より多く乗れる7人乗りのモデルを用意する。2列目の中央コンソールには携帯端末などの充電用USB端子やカップホルダーを備えるモデルもある。価格は319万6800円〜419万400円。

 排気量2.2リットルのディーゼルエンジンを積む。二輪駆動と四輪駆動の2タイプ用意した。燃費は最も良いモデルで、JC08モード(現行基準)は17.6キロメートル、WLTCモード(新基準)は15.8キロとなる。大型の燃料タンクを搭載し、1度満タンにすれば約1100キロメートル走れる計算となる。

 同社はミニバン市場から撤退する方針を示してきた。現在は「ビアンテ」と「プレマシー」の2車種を展開しているが、「ビアンテ」は9月中に、「プレマシー」は17年度中に生産を終える計画だ。営業活動は受注や在庫状況に応じて終了時期を判断する。

 同日記者会見した小飼雅道社長は「ミニバンに変わる新たな市場の創造に挑戦する」と強調した。「価値観の変化がある。家族や友人と過ごす時間だけでなく、1人の時間にドライブに出かけたくなるようなクルマにした」と説明した。CX―8では月1200台の販売を目指す。

 マツダは「性別や世代での主なターゲットは決めていない」(商品本部の松岡英樹主査)としているが、40〜50代の男性らの関心が高まるとみられる。このほか友人などを乗せたり、荷物を多く積んだりする人の需要なども想定する。

 小飼社長は「自動車産業の急激な変化を踏まえながら、走る喜びを訴求していく」と強調した。輸入車やミニバンを検討する顧客向けの選択肢としても提案し、今後のマツダのSUVの旗艦車種とする考えだ。(湯沢維久)

配信2017/9/14 11:00 (2017/9/14 12:59更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ13HGY_U7A910C1000000/