政府は、米国最大のジャガイモ産地、アイダホ州産の加工用生鮮ジャガイモの輸入を解禁した。日本は同州でのジャガイモシロシストセンチュウ(Gp)の発生以降、11年間輸入を停止していた。同州は、世界有数のジャガイモ産地である米国の生産面積の3割を占めるだけに、国内産地にとって脅威となる可能性がある。

 今回の輸入解禁は12日付。米国産の輸入生鮮ジャガイモは、日本国内の菓子メーカーがポテトチップス加工に使う。輸入量は年々増え、2016年は2万8000トンだった。

 米国産の生鮮ジャガイモの輸入は06年2月に初めて解禁した。同年4月にアイダホ州でGpが発見されたことを受け、米国産の輸入を全面的に停止。その後、農場での土壌診断の徹底や、同州産種芋の不使用などを条件に07年2月、同州産以外の輸入を再開した。

 今回、農水省や植物防疫所の防疫官らが同州の圃場(ほじょう)の土壌管理などを調査し、安全性の確認を進めた。同州には44郡あり、06年以降にGpの発生が確認されたのは2郡。この2郡産のジャガイモは安全が確認されていないとし、輸入は引き続き禁止する。それ以外の郡で生産されたジャガイモの輸入が可能になる。

 ジャガイモの輸入期間は2〜7月のため、実際に輸入が再開されるのは来年以降となる見通しだ。

 Gpを巡っては15年、日本で初めて北海道網走市で確認された。道は関係者と連携し、発生圃場での緊急防除を今年から開始。19年までの根絶を目指している。国内産地がGpへの警戒を強めている時だけに、不安の声が出る可能性もある。

 日本スナック・シリアルフーズ協会によると、国内で消費するポテトチップス原料は、約40万トン。そのうち国産が9割を占める。東京都内の輸入業者は「生鮮アイダホポテトの輸入解禁により、ポテトチップスの加工業者が安価な米国産を選べば、国内生産者への影響は大きい」とみる。安価な輸入物が増えることで、国産価格の下落を招く可能性も指摘する。

配信2017年09月14日
日本農業新聞
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