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9月14日 19時07分

都心の渋滞緩和などを目的に建設が進められている「東京外かく環状道路」=「外環道」のトンネル拡幅工事について、発注元のNEXCO東日本と中日本が「談合などの疑いを払拭(ふっしょく)できない」として、今月になって業者の選定手続きを中止したことがわかりました。公正取引委員会は今後、事実関係について確認を進めるものと見られます。
東京・埼玉・千葉を環状に結ぶ「外環道」のうち、東京・練馬区から世田谷区までの区間は地下およそ40メートルにトンネルを掘って道路を通す計画で工事が進められています。

この区間のうち、地上にある中央自動車道に接続するジャンクションを建設するために地下のトンネルを拡幅する4つの工事について、発注元のNEXCO東日本と中日本はことし4月に受注業者を選定する予定になっていました。

この工事の事業規模は数千億円と見込まれていますが「4つの工事を大手ゼネコン4社が分け合う予定になっている」といった談合情報があると指摘されたため、NEXCO2社が業者への聞き取り調査などを進めた結果、「談合などの疑いを払拭できず、公平性を確保できないおそれがある」として、今月1日に受注業者を選定する手続きを中止したことがわかりました。

この調査結果は公正取引委員会と警察庁に通知されたということで、公正取引委員会は今後、事実関係について確認を進めるものと見られます。

国などは「外環道」の都内の区間について、3年後の東京オリンピック・パラリンピックまでの開通を目指していましたが、NEXCO2社は「工期に遅れが出るかどうかは現時点でわからない」としています。

都市政策に詳しい明治大学公共政策大学院の市川宏雄教授は「東京では交通渋滞の影響で、年間数兆円規模の経済的損失が生じているという試算もあり、外環道が完成すれば、都心の渋滞が緩和され損失のかなりの部分が解消されると期待されていた。談合という不正行為によって工事が遅れるのであれば大きな経済的損失につながりかねない」と話しています。
そのうえで「世界の主要都市ではオリンピックなどのビックイベントの開催に間に合わせるため環状道路の建設を一気に進める傾向がある。今回の問題によって工期が遅れ、3年後の東京オリンピック・パラリンピックまでに外環道が開通しないことになれば、今後もずるずると完成の時期が遅れる可能性がある」と指摘しています。
大手ゼネコン各社は「指摘されたような事実はない」とか「適正な手続きで営業活動を行っている」などとしています。

NEXCO中日本 改めて業者選定

受注業者の選定手続きを取り止めたことについてNEXCO中日本は「競争に参加している業者の名前は非公表だったが、国会などで具体的な業者名が明らかにされる事態になり内部調査を行った。その結果、談合などの不正が行われた疑いが払拭できなかった」などと説明しています。
そのうえで「今後、再び工事を発注し改めて業者の選定を進めることになるが、工期に遅れが出るかどうかは現時点でわからない」としています。
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