大橋の架け替え 熊本・立野峡谷
2017年09月14日 17時00分
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/358511/

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界ジオパーク」に認定されている熊本県阿蘇地域の名所の一つである立野峡谷(南阿蘇村)の柱状節理(ちゅうじょうせつり)の一部が、国の復興工事で破壊されていたことが分かった。工事は昨年4月の熊本地震で崩落した阿蘇大橋の架け替えに伴うもので、国は県に壊すことを説明していなかったとみられる。
 柱状節理は、固まった溶岩に角材状の割れ目が縦に入る現象。立野峡谷では川岸に広範囲にわたって露出しており、ジオパークの見どころ「ジオサイト」に指定されている。
 国土交通省熊本復興事務所によると、現地では昨年11月、同事務所が阿蘇大橋の架け替え工事に着手。この工事で柱状節理を含む幅約110メートル、高さ約70メートルの川岸を削ったという。熊本市の市民団体が8月末、柱状節理が壊れているのに気付いた。
 取材に対し、県阿蘇地域振興局は「工事で柱状節理を壊すとは聞いていなかった」と説明。国交省熊本復興事務所は「県に対して説明したかどうかも含めて事実関係を調べている」としている。
 阿蘇地域は2014年9月に世界ジオパークに認定され、来年は4年に1度実施される再認定の審査を控える。阿蘇ジオパークガイド協会員で南阿蘇ガイドクラブ会長の中島一美さん(69)は「復興工事なので仕方ない部分はあるが、これ以上壊さないようにしてほしい」と話している。