厚生労働省は、医療・介護分野での人工知能(AI)の開発支援に本腰を入れる。画像診断や医薬品開発、ゲノム医療、介護・認知症などを重点領域に位置付け、来年度予算の概算要求で、今年度の約7倍に上る約46億4千万円を盛り込んだ。

 細胞や組織を顕微鏡で見て診断する病理の領域は、膨大な画像データがある一方、病理医の不足が課題だ。東京大の佐々木毅准教授(病理診断学)らは、がんの進行を見極める重要なポイントとなるリンパ節転移を見逃さないAIを開発し、実用化に向けた研究を進めている。

 佐々木さんによると、数百の症例から読み込んだリンパ節の画像100万枚以上をAIに学習させると、転移を診断できる精度は昨年末時点で95%に達した。経験を積んだ病理医の診断精度は96%以上とされ、ほぼ同じ成績が得られたという。

 日本病理学会によると、全国の…

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