(天声人語)首相、年内解散を検討
http://www.asahi.com/articles/DA3S13138736.html
http://blogos.com/article/246889/

1984年のロス五輪で柔道の山下泰裕は、肉離れした右足を引きずりながら、決勝に臨んだ。
対戦したエジプトのラシュワンは、こんな作戦を授けられていたという。最初の1分間は技をかけずに山下を焦らせる。

そして右足を攻める▼しかし試合が始まると、彼は作戦を無視した。真っ向から勝負を挑み、山下に敗れた。
国際フェアプレー賞を受けたラシュワンは後に語っている。「尊敬する山下の弱点を攻めるのはいやだった」

政治にフェアプレーを求めるのは、お門違いかもしれない。
それにしてもこれが単に、相手が弱っている時を選んでの攻めであるなら、しらけてしまう。

安倍晋三首相が衆院を解散する検討に入ったそうだ▼28日に始まる臨時国会の冒頭に踏み切る可能性があるというから、ずいぶん急な話だ。
野党第1党の民進党が離党者の続出で低迷し、今なら勝てると踏んだか。

怒りを感じたとしても、さて受け皿はとなると寒々とした風景がある。とくに民進党の体たらくは、肉離れなどで済む話ではない。
与党は、不戦勝を狙うような気持ちで総選挙に臨むのだろうか。民主主義の荒野である。