https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35107438.html

(CNN) ペットの介護や看護に伴う負担は家族を介護する負担と同様に、飼い主のストレス増大、うつや不安の症状、生活の質の低下に結びついているという研究結果が、18日の学会誌に発表された。

論文を執筆した米ケント州立大学のメアリー・スピッツネーゲル准教授によると、ペットの介護が飼い主に与える影響についての学術研究が発表されるのは初めてだという。

獣医師でカリフォルニア大学教授のショーン・オーウェン氏は、父親が2010年に腎臓がんのため死去し、直後に母親の愛犬だったラブラドールのミックス犬「マギー」が悪性腫瘍の血管肉腫と診断された。


オーウェン氏によると、獣医師がこうした症例に遭遇することは珍しくない。「配偶者やパートナーを亡くしたばかりの高齢の男性や女性が、今度は愛犬や愛猫の恐ろしい病気に見舞われる」「そうした話に胸が張り裂けそうになる」

オーウェン氏の母親は何カ月もの間、夫と愛犬の看病を担い、車で別々の病院へ送り迎えする日々が続いた。看護の負担が母の心にのしかかる様子を見ているのはつらかったとオーウェンさんは振り返る。愛犬のマギーも、悪性腫瘍と診断されて間もなく死んだ。

スピッツネイゲル氏の研究チームでは、ソーシャルメディアで募った犬や猫の飼い主238人を、ペットが慢性または回復不可能な疾患にかかっている119人のグループと、ペットが健康な119人のグループに分けて調査した。

その結果、ペットを介護している飼い主の方が健康なペットの飼い主に比べて重いストレスを抱え、うつや不安の症状が深刻で、生活の質も低いことが分かった。

「慢性疾患や回復の見込みのない疾患のペットの介護は明らかに、飼い主にとってのストレスになる。人の介護においてどんなことがストレス軽減の助けになるかに目を向ければ、こうした状況にいる人を助ける方法について多くを学ぶことができるだろう」とスピッツネーゲル氏は話す。

ただ、今回の調査の対象とした飼い主は平均年齢48歳で、社会的地位の比較的高い白人女性が中心だったことから、今後はもっと幅広い層を対象として調査を進める必要があるとしている。

オーウェン氏の母親は昨年、突然亡くなった。自分の遺灰は夫とマギーの遺灰と混ぜて海にまいてほしいという遺言に従って、遺族はサウスカロライナ州沖の大西洋で散骨を行った。

オーウェン氏は、マギーの介護をしていた時の母の様子を振り返り、そうした体験や今回のような論文がきっかけとなって、ペット介護の負担や、そうした負担を軽減する方法に脚光が当たってほしいと話している。

2017.09.19 Tue posted at 14:30 JST

犬、猫、うさぎを飼っているペンス副大統領。ペットの看護は飼い主の心の健康の負担になるとの研究結果が発表された
https://www.cnn.co.jp/storage/2017/09/19/78ad7f6a35bf761adfb70ef7012c1d1e/t/320/179/d/pence-puppy-exlarge-169.jpg