小学校の英語は3年後に高学年で正式な教科となり、教える内容もより難しくなります。英語の免許をもたない教員が多い小学校でどう対応すべきか、学校現場ではさまざまな試行錯誤が始まっています。

小学校の高学年で英語が3年後から正式な教科となるのを前に、文部科学省が教育委員会の関係者を対象に説明会を開きました。説明会には、全国の教育委員会の担当者などおよそ300人が参加しました。

文部科学省の担当者が3年後に高学年で教科となる新たな小学校英語は、これまで英語のゲームや音楽などを通じて慣れ親しむことが中心だったのが、読んだり書いたりすることや、基礎的な文法についても学ぶことになると説明しました。そのために、子どもたちの好きなスポーツや食べ物を教材として活用し、前向きに取り組んでほしいと呼びかけました。

小学校英語は中学年に前倒して必修化され、高学年は正式な教科となります。教科になると授業では教科書が使われ、成績もつけられます。

参加した長崎市の担当者は「現場の教員は文法などの説明が増えることを不安に感じている人は多い。教材の内容はよいと思うのでうまく活用したい」と話していました。

文部科学省で外国語教育を担当する金城太一室長は「教材とともに指導書も示しているので、校内研修などを活用して、どのような指導方法がいいのか現場の状況に合わせて検討してほしい」と話していました。

「研修で苦手意識を減らしたい」



滋賀県草津市の志津南小学校で6年生を担任する西田光希先生は、中学校や高校の英語の免許はなく、今の授業は英語の専科教員から支援を受けています。

「英語の指導には不安がある」という西田先生ですが、教科となれば、学習内容も難しくなり、児童の成績もつけなければなりません。そこで取り組んでいるのが、教育委員会が今月から導入した新たな研修です。放課後にフィリピン人の英語講師からインターネットを通じて、1対1で指導を受けます。

講師が行う模擬授業をみずからが子どもの立場となって受けることで、英語力だけでなく、コミュニケーション力の向上も図ります。

西田先生は「授業の準備など、日々の業務が忙しいので英語に使う時間はまだ少ないです。研修を利用して、苦手意識を減らし、子どもたちに英語を通じて楽しい経験をさせられるよう、取り組みたい」と話していました。

専門家「連携し質の高い研修を」

元小学校の校長で学校の教育内容に詳しい早稲田大学教職大学院の遠藤真司客員教授は「従来、大学の教職課程では小学校英語の指導方法を教えず、採用試験で必要になることもあまりなかった。まさに新しい世界に突入するということで、戸惑いの声は多い。教員の英語力や指導力を高め、自信をもって教壇にたてるようにするため、行政や大学、それに民間企業などが連携して質の高い研修制度を充実させる必要がある」と話しています。

一方で、英語や道徳が教科化され、新たな業務が加わることについては、「学校に求められるものが多くなって教員にしわ寄せが来ている。ゆとりをもって指導できる環境や仕組みを作らなければいけない」と指摘しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170922/k10011151411000.html