二枚舌の小池政治の一端がこれ

都民ファーストの会は基本政策集の1枚目にこう記して都議選を戦った。
「“のり弁”をやめます————『黒塗り』の公文書を改め、徹底的に情報公開します」
 しかし、都議選からわずか2日後の7月4日、記者が手にしたのはまさに黒塗りだらけ
のA4 判2枚のリストだった。築地市場の豊洲への移転を延期したことによる損失について、補償を受けた業者の一覧(文書名は「補償金交付決定宛先等一覧」)である。

 今回の対象文書は、今年3月までの損失を対象に4、5月に支払われた初回分9億円分の内訳を
記している。計52社に対して1社について最大で1億7900万円もの補償金が支出されていることは判る。

 公金を使って補償する以上、どの業者への補償額がいくらだったかについて公開しない理由
はなさそうだが、東京都中央卸売市場の担当者は黒塗りしした理由をこう強調した。
「補償額によって業者ごとの市場への出資状況が第三者に明らかになる。業者の経営戦略に
かかわる情報は明らかにできない」

 一見もっともらしくも聞こえるが、市場担当の部署に勤務する都庁職員が別の理由を明かす。
「築地の約500の水産仲卸業者の大半は豊洲移転に反対で、移転の前提となる安全対策を議論
した5月の専門家会議では“こんなやり方はおかしい”と鬼のような形相で声を荒げていた。
ところが補償金の話になると、急に反対派も表情が穏やかになる。反対して移転が遅れる
ほど補償金が増えるというおかしな構造になって、当人もバツが悪いのでしょうね、決定通知を
店舗に持って来られるのを嫌がり、自分で取りに行くと言う人もいるそうです」