訪日外国人が年々増加する中、各自治体はインバウンド需要を取り込むため、様々な施策を行なっている。東京都台東区は飲食店等によるイスラム圏からの訪日客の受け入れのため、飲食店のハラール認証取得助成などの整備を進めている。

こうした対応は政教分離の原則(憲法20条3項、89条等)に反しないか、問題を孕んでいるようにも見える。この点について検討してみた。(ジャーナリスト・松田隆)

●増加する「インドネシア」「マレーシア」の観光客

訪日するムスリムの中心は、イスラム教徒が国民の約9割を占めるインドネシアと約6割を占めるマレーシア。今年1月から8月までの両国からの訪日客は47万9100人で、全体の1891万6200人の約2.5%に相当する。2016年からの伸び率を見るとインドネシアが33.0%、マレーシアが14.7%と増加傾向にある(出典は日本政府観光局=JNTO、両国のムスリムの占める比率については外務省)。

台東区ではムスリム対応をする飲食店等に対して、ハラール認証取得助成事業等を行なっている。「ハラール」とはイスラム法で「合法」。食に関する「ハラール」はイスラム教の教義で口にすることを許された食材や料理を指し、牛肉であれば正規の手続きに沿って食肉処理されたものだけが「ハラール」として食べることが許される。

ムスリムが来日する際は、原則としてハラール食材、料理を提供していることを示す「ハラール認証」を受けている店舗以外には入らないと考えていい。

台東区のムスリム旅行者受け入れ促進事業は平成27年度にスタートした。今年度の予算は551万5000円。そのうちハラール認証に関するものが200万円で、ハラール認証を受けるための費用の2分の1、10万円を限度として交付される。

同区文化産業観光部観光課では「事業の目的は、あくまでも観光。イスラム教の布教ではなく、ムスリムの旅行者の受け入れ環境の整備ということを主眼に置き、地域経済の活性化を目的としています。効果としては、この事業をやることで他の宗教に干渉、圧迫することはありません。目的も効果も政教分離の原則には反しないと考えており、区の法務部門にも確認のうえ実施しています」と説明する。

なお、同区ではムスリムが「礼拝をしたい」という問い合わせを受けた場合に、台東区立浅草文化観光センターの一部の使用を許すという対応もしている。さらに、実現に至ってはいないが、礼拝に必要な、聖地メッカの方向を示すコンパスと礼拝の儀式に必要なマットを貸し出すことも検討したという。

なお、宗教とのつながりがある国やその機関の行為が許されるかどうかは、「目的効果基準」によって判断される。国家やその機関が宗教と一切の関わり合いを持つことが許されないというわけではなく、行為の目的と効果に鑑み、相当な限度を超えた場合に許されないものとなる(政教分離の原則に違反する)。そして憲法20条3項で禁じられる国及びその機関の「宗教的活動」とは「行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為」を指す(以上、最大判昭和52年7月13日の判旨より)。

●政教分離の原則に反する?

――台東区のハラール認証取得助成事業は政教分離の原則に反しませんか

結論として合憲だと思います。目的効果基準で考えた場合に、観光客誘致が目的であること、イスラム教の振興など考えていないだろうし、その効果も大したことはないでしょう。全くないとは言いませんが。ただ目的効果基準論で言えば、そこは簡単にクリアできる部分だと思います。

先例としては白山ひめ神社事件(最大判平成22年7月22日)が参考になります。最高裁の判例を前提にすれば問題ありません。

>>2 以降に続く

配信2017年10月12日 09時17分
弁護士ドットコム
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★1が立った時間 2017/10/12(木) 11:46:23.12
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