一橋大・ゲイとばらされ亡くなった学生 遺族が語った「後悔」と「疑問」

「これはゲイを理由にした、いじめと同じだ」
2016/08/13 14:12
Kazuki Watanabe
渡辺一樹 BuzzFeed News Reporter, Japan


最高に信頼していた。そして、好きだと告げた。その同級生に「あいつはゲイだ」とLINEで言いふらされた。


母親が気づいた異変

母親がつとめて、冷静に語る。

LINEでの親子のやりとり。母親は6月24日以降、既読にはなるけど返事がないな、と気にかけていた。そっけない息子だが、いつもなら「ありがとう」「おやすみ」ぐらいの返信はある。

明らかな異変が、7月上旬にあった。「来世はxx(ペットの名前)かな」というLINEのメッセージが届いた。

意味がわからない??。母親は心配になり電話した。

息子は泣きながら、「親友に裏切られた」とZくんの名前を口にした。母親が「裏切るような奴は親友ではない!」と励ますと、少し落ち着いたようだった。
帰省を勧めたが「すぐ帰りたいけど、授業がある」。「眠れない」というので、心療内科を受診した方がいいとアドバイスした。


7月中旬、2泊3日で実家に帰った息子は、ひたすらパソコンに向かい、大学院での模擬裁判の準備をしていた。勉強の合間、なぜ裏切られたのかを聞いても「ひき逃げにあったようなものだ」としか答えない。

Zくんとの間に何があったのか。その詳細については言いたくなさそうな雰囲気だった。大学の相談室へも「自分で訴える」と言っていた。
「今日はZがいないから大丈夫」

Aくんは、母親にこう語っていた。

Zの自転車は目立つ。見ただけで吐いてしまい、家に逃げ帰ったり、建物の陰に隠れたりしている。そんな自分が辛い。なぜこんな思いをしなくてはならないのか。腹立たしいし、悲しい。


遺族は、裁判をするための「証拠保全」という制度を使って、大学に残っていた文書の一部を手に入れた。

さらに、A君がパソコンの中に保存していた文書にも、事件のことがいろいろと書いてあった。遺品を整理していた妹が、パソコンの「今回」というフォルダの中に、いろいろな資料がまとめて入っているのを見つけた。

「いつでも訴えられるよう、準備をしていたのでしょう」

ZくんがアウティングをしたときのLINEの画面も、そのフォルダに保存されていた。


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