今年6月に中国・インド両軍が国境付近で対峙(たいじ)したことなどを受けて両国の緊張関係が続く中、
インドで中国製品をボイコットする動きが広がっている。

ヒンズー教徒らの団体が不買キャンペーンを展開。
19日に控えるヒンズー教の祭典「ディワリ」の商戦にも影響を与えそうだ。
今回の事態は、拡大するヒンズー至上主義ともからみ、両国の対立関係の根深さを浮き彫りにしている。

「私たちは大成功を収めている。多くのリポートによると、中国製品の販売は前年比で確実に減少した」

ヒンズー教聖職者や教徒で作る世界ヒンズー協会(VHP)のスレンドラ・ジェイン事務局長は産経新聞に対し、
不買運動の成果をこう強調した。
VHPは1千万人近い会員を抱えるともいわれ、モディ首相の与党インド人民党(BJP)を支援する有力団体。
不買運動は今後も継続させる方針で、ジェイン氏は「ソーシャルメディアや一般広告などを通じて働きかけている」と話す。

運動が熱を帯びたきっかけは昨年9月、北部カシミール地方のインド陸軍基地がイスラム過激組織に襲撃されたテロ事件だ。
インドはパキスタンが過激組織を支援しているとして「テロの母艦」と非難。
パキスタンと蜜月関係を築く中国にも批判の矛先が向かった。

今年6月、インド、中国、ブータン3カ国が国境を接するドクラム地区で中印両軍がにらみ合いを続けたことが拍車を掛けた。

2014年5月のモディ政権誕生以降、インドではヒンズー至上主義が伸長しており、
現地ジャーナリストは「反中感情と愛国心が混ざり合って不買を後押ししている」と分析する。

VHPは最近、中国製品を買わないよう消費者に求める張り紙を市場に掲示。
ディワリ前後には贈り物などで大量の消費が生まれるが、全インド商工会議所連合会は
「中国製品の売り上げは昨年比で40〜45%減少する可能性がある」と予想している。

 ディワリは電球などの明かりで街が彩られるため「光の祭典」といわれるが、電飾の多くが中国産であることをVHPなどは問題視。
電飾ではなく、伝統的なインド産の素焼きの器に火をともすことを推奨する動きも出ている。

また、8日付の印英字紙タイムズ・オブ・インディア(電子版)によると、インド政府は医療分野での中国依存を減らそうと模索している。
インドは医薬品・医療機器の70〜80%を中国製品に頼っており、
関係がこれ以上悪化すれば「医療状況の悪化に直結しかねない」との判断からだ。

両国の緊張関係は幅広い分野に影響しそうだ。

http://news.livedoor.com/article/detail/13741079/