アジアを中心としたインバウンド(訪日外国人客)が急増する中、在日中国人が自家用車を使って有料で中国人観光客を運ぶ無許可の「中国式白タク」が、各地に広がっている。関西では関西国際空港のほか、奈良市の世界遺産・東大寺や奈良公園周辺でも横行していることが判明。バス停や交差点内で利用者を乗降させるなどの違法行為も目立つ。沖縄では摘発例もあり、近畿運輸局は実態把握に乗り出した。(神田啓晴)

 この中国式白タクは、中国の業者が運営するインターネットサイトやスマートフォンのアプリに登録した在日中国人が、日本国内では無許可のまま、自家用車で有償で客を輸送するシステム。訪日客の増加に伴い、関空や成田空港など日本各地の空港で横行、今年6月には中国籍の男2人が道路運送法違反容疑で沖縄県警に再逮捕された。

 だが、予約から支払いまですべてがモバイル決済可能で証拠がつかみにくい上、職務質問された運転手が「友達を乗せている」と答えれば、白タク営業として摘発するのは難しい。

 関係者によると、奈良市内で中国式白タクが確認され始めたのは今年6月ごろから。世界各国からの観光客でにぎわう東大寺や奈良公園周辺で、特定のミニバンが中国人の一行を乗降させている様子が確認されているという。

 日本の正規タクシードライバーも苦々しい思いだ。関空で客待ち中の男性運転手(68)は「そもそも現金のやり取りがないと取り締まりできへんのやから、手の打ちようがない」とあきらめ顔。別の男性(70)も「ここ1年で特に増えた。白タクなのか、ほんまに友達の送迎なのかは分からない」。奈良市の大手タクシー会社の男性取締役(68)は「こちらは国の許可を得て責任を持って仕事しているが、白タクは事故に遭っても補償もない。外国に来たとき、母国語が通じるのが安心なのは分かるけど…」と話す。

 近畿運輸局は「情報は入っており、早く対策を取りたい」。県の担当者も「警察に相談するなど対策を講じたい」としている。

 先月下旬。「中国式白タク」が横行しているとされる東大寺大仏殿バス停周辺で取材を試みると、手持ちぶさたに座り込む中国人の一行を見つけた。

 バス停にバスが止まっても、乗ろうとはしない。バスが発車して約10分後、1台のミニバンが停車。すると、1人の男性が「来了、来了(来た、来た)」と仲間を呼び、続々とミニバンに乗り込んだ。ナンバーは白、つまり自家用車だ。

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