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衆院選で対決する安倍晋三首相(自民党総裁)と希望の党の小池百合子代表(東京都知事)。
党首として批判合戦を繰り広げる一方、安全保障政策などをめぐっては、双方とも
「大きな違いはない」と認め、選挙後の連携も視野に入れる。四半世紀近い政界の歩みで
敵にも味方にもなった2人の関係が今後どうなるかは予断を許さない。
 
「当選したいがため党の名前を変える、人気がありそうな党に潜り込む。こんな話ばかりで、
政策はそっちのけだ」。首相は14日、香川県坂出市での街頭演説でこう嘆いてみせた。
首相は連日の遊説で、批判の矛先を主として民進党からの合流組に向け、小池氏個人への
あからさまな攻撃は控えている。
 
小池氏は、消費税増税凍結の主張や森友・加計学園問題への批判では安倍政権との対決色を
前面に出すものの、「リアルな安保政策」を掲げ、憲法9条改正も排除しない姿勢を示す。
13日には記者団に「是々非々の対応で進めていく」と、テーマ次第で自民党との連携に含みを持たせた。
 
首相と小池氏はともに、自民党が下野した1993年の衆院選で初当選したが、歩みは対照的だ。
首相が一貫して自民党に所属しているのに対し、小池氏は日本新党を皮切りに、新進党や
旧自由党などを転々とし、細川護熙元首相や小沢一郎氏ら時の実力者の下で存在感を高めてきた。
 
「政界渡り鳥」ともやゆされた小池氏は02年、自民党に入党。安倍氏は党幹事長や官房長官などを務め、
小池氏は環境相に就き、ともに小泉内閣を支えた。06年に第1次安倍内閣が発足すると、
小池氏は首相補佐官に起用され、国家安全保障会議(NSC)の下地づくりに努めた。
07年には女性初の防衛相に抜てきされた。
 
2人の間に亀裂が生じたのは野党時代の12年の自民党総裁選。安倍氏が返り咲き、
その後政権奪還を果たすが、小池氏は対立候補だった石破茂元幹事長を支援した。
以来、安倍政権下で小池氏が重要ポストに就くことはなかった。
 
小池氏は自民党に反旗を翻す形で昨年7月の都知事選に出馬し勝利。今年7月の都議選でも、
小池氏率いる「都民ファーストの会」が圧勝した。ただ、小池氏は自民党都連や都議会自民党には
敵意をむき出しにするが、20年東京五輪開催準備では首相と協調するしたたかさも併せ持つ。
 
小池氏は「外交・安全保障では(自民党と)違いはない」と明言し、首相も「基本的な理念は同じだろう」
と期待を寄せる。政権内からは「首相は小池氏を改憲勢力として捉えている」との声が出ており、
2人が再び味方になる可能性は否定できない。


安倍首相と小池氏の歩み
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