イラク政府は、これまでクルド自治政府が実効支配してきた北部の油田地帯を制圧したのに続いて、クルド側と管轄権を争うほかの地域にも軍を送って支配下に置き、独立を断念するよう迫りましたが、クルド側は強く反発しており、双方の対立が解消されるめどは立っていません。
イラク政府は、北部のクルド自治政府が先月の住民投票で独立の意思が示されたとしていることに反発し、16日、クルド自治政府が実効支配してきたキルクークの油田地帯に軍を送り制圧しました。
さらに17日には、クルド側が過激派組織IS=イスラミックステートから奪還した北部のシンジャールや、イランとの国境に近いハナキンなど、双方が管轄権を争うほかの地域にも相次いで進軍し、ほとんど抵抗を受けずに支配下に置きました。
これを受けてイラクのアバディ首相は会見で「住民投票は終わり、過去のものになった」と述べ、クルド側に対して住民投票を無効にするよう改めて迫りました。
これに対してクルド自治政府のバルザニ議長は、「独立を求める声は世界の人々に届き、むだにはならない」と述べ、あくまで独立を求めていく姿勢を強調しました。
さらにバルザニ議長は、「クルド側の部隊がほとんど交戦せずにキルクークから撤退したのは一部の部隊員が決めたことだ」と非難し、支配地域を失ったことについてクルド内部から上がっている批判をかわす狙いもあるものとみられます。
10月18日 4時57分