https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171020-00000013-jct-soci

産経新聞の1面コラム「産経抄」の内容が物議を醸している。
「パナマ文書」の報道を続けたマルタの記者が爆殺された事件に触れ、
同コラムは「日本の新聞記者でよかった、と思わずにはいられない」と書いたのだ。
        
死に対するこうした書き方には、「新聞記者を生業にしている方の書く事とは思えません」
といった投稿がツイッター上で続出。ジャーナリストの江川紹子氏は、「人の無残な死を、
同業の者としてまずは悼むということが、せめてできないのだろうか...」とツイートしている。

■「産経抄にはそれくらいの想像力すらないのか」

2017年10月19日の産経新聞朝刊に掲載された産経抄は、「日本の新聞記者でよかった、
と思わずにはいられない」の1文で始まる。「地中海の島国マルタで、地元の女性記者が
殺害された。車に爆弾を仕掛けるという残虐な犯行である。彼女は『タックスヘイブン』
(租税回避地)をめぐる『パナマ文書』の報道に携わり、政治家の不正資金疑惑を追及していた。
マルタとはどれほど恐ろしい国か」と続く。

マルタの女性記者、ダフネ・カルアナガリチア氏は16日、同国で車を運転中に車内に
仕掛けられていた爆弾が爆発し、即死した。同氏は世界中の富豪・権力者による
タックスヘイブンの利用実態を暴いた「パナマ文書」の調査報道に携わっていた。
その関連で、マルタのムスカット首相夫妻による資産隠し疑惑を2016年から追及してきた。

カルアナガリチア氏の死は激震をもたらした。20日付のAFP通信によると、マルタの報道関係者ら
数百人が19日、首都バレッタの議会前でデモを実施。「脅迫には屈しない」と訴えた。

こうした現実の一方で、「日本の新聞記者でよかった」とする産経抄の内容は物議を醸した。
江川紹子氏は20日未明、ツイッターに

「人でなし、とはこんなものを書く人のことを言うのだろう 。人の無残な死を、
同業の者としてまずは悼むということが、せめてできないのだろうか...」

と、今回のコラムが掲載されたウェブ版のURLとあわせて投稿。続くツイートで

「それに、日本で悲惨な事件や事故、災害があって、人々が強い衝撃を受けている時に、
他国の新聞が『あぁ、日本人じゃなくてよかった。日本はひどい国だ』と書いたら、どんな気持ちか、
産経抄にはそれくらいの想像力すらないのか」

と不快感をにじませた。