新潟県中越地震で、生まれたばかりの3匹の子犬を守った母犬「マリ」(五十嵐豊さん提供)
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死者68人、負傷者4805人を出した2004年の新潟県中越地震から23日で13年。全村避難を余儀なくされた旧山古志村(現長岡市)で余震が相次ぐ中、3匹の子犬を守り、映画化された母犬「マリ」たちを描いた看板が同日、お披露目される。マリは昨年6月、15歳で息を引き取った。
看板の作製は、地元の住民らがマリの勇気をたたえ、地震の記憶を語り継ぐことを目的に提案。長岡市山古志東竹沢にある飼い主の同市職員五十嵐豊さん(52)の自宅近くに設置された。五十嵐さんは「たくさんの人に覚えていてもらえることはありがたい」と感慨深げだ。

五十嵐さんは地震当日の朝、1匹目の子犬を出産したマリを見届け出勤した。夕方、外出先で激しい揺れを感じ家路を急いだが、道は寸断され帰宅を断念。在宅していた父高繁さん(故人)の無事は確認されたが、マリと子犬の安否は分からない状態が続いた。
ようやく再会できたのは、一時帰宅が許された約2週間後。痩せ細ったマリは鼻に泥を付けながら、ほとんど中身のないスナック菓子の袋を土の中に懸命に埋めようとしていた。縁側の下には、3匹の子犬が顔をのぞかせていた。

病気で体が思うように動かなかった高繁さんが数日後にヘリコプターで救出されるまで、自宅の2階まで何度も駆け上がって来たというマリ。五十嵐さんは「自分の子どももおやじも守るという気持ちだったのだろう」と回想する。
マリを題材とした映画「マリと子犬の物語」が07年に公開されると、全国から観光客が会いに訪れた。宛名に「山古志のマリへ」とだけ記されたはがきが届くこともあったという。

配信(2017/10/21-14:32)
時事ドットコム
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