政府系金融機関の商工組合中央金庫(商工中金)は25日、危機対応業務を巡る不正融資問題の調査結果を中小企業庁に提出した。報告にはほぼ全店で不正があったとの認定が盛り込まれた。同日午後、商工中金の安達健祐社長は東京・霞が関の経済産業省を訪れ、中小企業庁の安藤久佳長官に陳謝した。

 これを受け経産省は財務省、金融庁とともに、再発防止の徹底などを求める業務改善命令を出した。商工中金への同命令は5月に続き2回目となる。安達社長は「命令を重く受け止め、しっかり対応していきたい」と述べた。安達社長は元経産事務次官。

 商工中金の発表によると、大規模災害時などに中小企業に低利で融資する「危機対応業務」を巡り、4609の口座で不正が見つかった。融資実行額は2646億円。不正行為をした職員は444人で、全職員の1割超にあたる。

 全件調査の対象は約22万口座。このうち2%で業績資料の改ざんなどの不正があった。国内ほぼすべての97営業店が関与していた。危機対応業務以外でも、預金口座を開設する際に申請者が反社会的勢力でないことを事前確認する作業を怠っていた事例も判明した。

配信2017/10/25 15:05 (2017/10/25 16:05更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22681100V21C17A0000000/