捜査で利用するDNA型鑑定の増加に対応するため、警察庁が47都道府県の警察に配備した新型の鑑定装置の運用状況を会計検査院が調べたところ、7県警に配備した装置(計9782万円)が導入から5年以上たっても一度も使われていなかった。検査院は、警察庁に改善を求めた。

 警察によるDNA型の鑑定は増えており、2008年には前年から約5万件増えて12万件となっていた。警察庁は09年度、従来の装置では一つずつ行っていたDNAの抽出や量の計測を、96試料分が一括処理できる装置を導入。全国の警察に配備した。

 だが、そのうち26都道府県の警察を検査院が調べると、富山、滋賀、鳥取、島根、岡山、山口、愛媛の7県警は、調査した15年11月までに一度も装置を使用していなかった。鑑定数が少なく、使う機会がなかったことや、作業が面倒なことが理由だった。警察庁は、こうした運用状況を把握していなかった。

 検査院の指摘を受け、警察庁は操作性を改善した新開発のソフトウェアを7県警中5県警に導入。ほかの2県警の装置は、他県警などに移すこととした。(末崎毅、小林太一)

配信2017年11月9日15時20分
朝日新聞デジタル
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