H2Aの上段(2段目)に使われている「エキスパンダーブリード」というエンジン方式を、
世界で初めて、初段(1段目)に採用。
2段目を含め、この方式は、日本の他に採用している国は無い。
2段目のエンジン方式はH-IIロケットの頃(1990年代初頭)から使われ、抜群の信頼性を誇っている。

何が画期的かと言うと、主燃焼室(ロケットの推力を生み出す燃焼室)に、膨大な量の燃焼を送り込むための
「ターボポンプ」を駆動させるために、他国のロケットでは、ターボポンプ専用の小さな「副燃焼室」
を設けている。この副燃焼室は、扱いが難しく、ロケットエンジンが爆発するリスクを高め、
またコストを増加させる要因となる。
エキスパンダーブリード方式はこの副燃焼室を使わないことで部品点数は大幅に減り、
また爆発のリスクをほとんどゼロに近づけることができる。

副燃焼室を使わないと、1段目に使うような大型・大推力のエンジンは作ることは不可能と言われていた。
日本は今回、世界で初めて副燃焼室なしの大型エンジン(H2AロケットのLE-7Aエンジンの1.4倍の推力)
を実現した。既に実機型エンジン試験は4月から始まっており、結果は順調だ。
完成すれば、世界で最も安全で、シンプルで、低コストで、また十分な推力(推力150トンf)を持つ
エンジンが登場することになる。