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11月15日 4時19分

日本での消費量のおよそ4割を占める大西洋クロマグロの今後の漁獲枠を決める国際会議が北アフリカのモロッコで始まり、資源の回復が進んでいるとして来年以降、漁獲できる量をどのように増やしていくか具体的な協議を進めることになりました。

東大西洋や地中海を主な漁場とするクロマグロは、日本や沿岸の51の国と地域が加盟するICCAT=大西洋まぐろ類国際委員会で資源が管理されていて、14日、今後の漁獲枠を決める会合がモロッコで始まりました。

会合ではまず、クロマグロの資源は回復傾向にあるとして3年後の2020年には漁獲枠を現在より50%以上増やしても問題ないとする専門家で作る委員会の報告が説明されました。

これを受けて来年以降の漁獲枠の拡大に向けて協議を進めることになり、今月22日までの期間中、どのように増やしていくかや、日本などへの割り当てが話し合われることになりました。

この海域のクロマグロは、割り当てに沿って日本が漁獲する分と沿岸の国からの輸入分を合わせると日本の消費のおよそ4割を占め、漁獲枠が拡大すれば、流通量は増えると見込まれます。

ただ、大西洋のクロマグロは乱獲や違法操業によって一時、絶滅のおそれも指摘されただけに、漁獲量が急激に増えれば回復傾向にある資源を再び枯渇させかねないという懸念もあり、今後の資源管理の在り方も問われることになります。

自然保護団体 慎重な対応を

大西洋クロマグロの漁獲枠拡大に向けた協議が進められることに対し、自然保護団体からは資源の回復はまだ完全ではないとして慎重な対応を求める意見が出されています。

国際的な環境NGOのWWF=世界自然保護基金は、来年の漁獲枠を現在より20%程度の増加にとどめるとともに資源保護の対策を続けるようICCATに求めています。

WWFは「短期的な利益を求めるのではなく大西洋クロマグロの確実な資源回復と長期的に利用し続けるための持続的な漁業管理が求められている」と訴えています。