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■人手不足“クライシス”

前述した大和総研の長内シニアエコノミストは、こうした現状を「クライシス」=「危機」と表現しています。

人手不足がさまざまな業種に広がっているのに加え、人件費が上昇して企業の収益を圧迫する。その両面で「危機」だというのです。

高齢化が進む地方で深刻になっていた人手不足は今や都市部にも広がっていて、長内さんは「企業は時給を上げることなどで対応してきたが、外国人や主婦の労働参加がかなり進んでいるので短期的には改善は難しい」と見ています。

■便利さの陰で…

少子高齢化で「縮小」を続ける日本。一方で都市部の繁華街を歩けばコンビニや飲食チェーン、ドラッグストアなど同じ業種の店が目と鼻の先に並びます。

「便利さの裏返しではないか」 長内さんは人手不足の背景を別の視点からも捉えています。

「あの店の、あの商品を、今、ほしい」

際限のない私たち消費者の願望に応えるべく激しい競争にさらされる企業。それとともに身近にまで広がってきた人手不足の波。

ロボットの活用やパートで働く人の働き方を制約しているとも言われる税金の仕組みの改善など抜本的な対策も必要なのではないか。

解決の糸口は簡単には見いだせそうにありませんが、取材を通して、社会の構造が今、「過渡期」に来ていると感じました。

おわり