<九州の高校>「修学旅行先はベトナム」広がる
11/20(月) 13:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171120-00000048-mai-soci

 ◇街の活気 ベトナム戦争の歴史…貴重な体験可能が魅力に

 ベトナムを修学旅行先とする高校が九州で増えている。福岡県で始まって口コミで評判となり、大分や長崎両県などに広がった。
経済成長著しい街の活気を肌で感じられる他、ベトナム戦争に関する平和学習や現地の高校生との交流など、多くの貴重な体験ができるのが魅力となっている。【吉川雄策】

 福岡県からベトナムへの修学旅行の端緒となったのは、2008年の同県とベトナムの首都、ハノイとの友好提携だ。
ベトナム航空福岡支店の九州地区旅客営業部長で、九州ベトナム友好協会専務理事を務めた河原繁憲さん(50)によると、
友好提携を機に九州からベトナムへ進出する企業が増えるなど関係が深まり、政財界から「若者の交流ができないか」と声が上がった。

 協会では高校生の修学旅行を各校に働きかけたが、当初はベトナム戦争のイメージが強く「危険」と敬遠する校長や保護者も少なくなかった。
だが、日本、ベトナム両政府の協力も取り付けて説得し、13年度に明善▽朝倉▽三潴(みずま)▽玄界−−の県立4高校から計815人が訪問した。

 生徒たちには「途上国」の印象が強かったが、街にはビルが林立して若者であふれ、地元の高校生も積極的にコミュニケーションを図ってきた。
ホーチミン市の戦争証跡博物館では、米軍が沖縄の基地からベトナム戦争に出撃していたことや、ピュリツァー賞を受賞した日本人カメラマン、沢田教一さんの写真
「安全への逃避」が戦争終結に寄与したことなどが説明され、日本とベトナム戦争との関わりも学んだ。

 帰国後、旅行で刺激を受けた生徒たちから「もっと英語を身に着けたい」「大学で国際関係を学びたい」
などの積極的な反応が相次いだことが口コミで広がったことで、他県も注目してベトナムへの修学旅行が広がった。今年12月末までに九州からベトナムを訪れる高校生は累計で1万人を超える見通しだ。

 明善高校(福岡県久留米市)は「最初は『なぜベトナムなのか』と疑問を持っていた生徒も異なる文化に触れて『行って良かった』とうれしそうに帰ってくる」と話す。昨年、訪問した3年の熊懐(くまだき)結花さん(17)は
「現地の高校生の英語力の高さに刺激を受け、帰国後は日常会話で使える英語を重点的に学んでいる。アジアに関する新聞記事に注目するようにもなった。次はベトナムのホイアンも訪れたい」と目を輝かせる。