http://sp.yomiuri.co.jp/national/20171121-OYT1T50111.html

兵庫県姫路市のJR姫路駅近くで行われていた市有地の整備事業が、思わぬ形で中止となった。

半世紀前の高層ビルの基礎工事で打ち込んだ杭くいが変形し、容易に抜けなくなったためだ。
「駅チカ」の一等地だが、このままではビルなどを建てるのは困難で、市は跡地利用に苦慮している。

1966年完成の高尾ビル(10階建て)で、3、4階部分が、70年代まで姫路市内を走っていた
「姫路モノレール」の大将軍駅として利用。モノレールの運休(74年)、廃止(79年)を経て、
賃貸住宅などとしても使われたが、老朽化のため、市が2016年度から5億円近くかけて
解体工事を行っていた。

ビルを撤去後、地中に埋まっている基礎部分のH形鋼の杭(長さ約16メートル)を抜こうとした際、
機械が破損。杭を振動させて引き抜く特別の工法で抜いたところ、先端部分が変形していたことが判明した。
H形鋼は約200本残っており、市は「振動を伴う工法を使えば抜けるが、民家が多い地域なので、
近所迷惑になる」として工事を断念した。

敷地は姫路駅北西側の約1800平方メートル。跡地の利用方法はビルの撤去後に検討するとしていた。
市は「杭が残ったままでは基礎工事をやり直せないので、商業ビルなどは難しい。平面駐車場か
プレハブ程度のものしかつくれない」としている。