基礎控除見直しのイメージ
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2018年度税制改正で焦点となっている所得税の控除の見直しを巡り、政府・与党は高所得者の基礎控除(一律38万円)の控除額を減額し、年収2500万〜3000万円より高収入の人はゼロとする方向で検討に入った。所得格差を縮める狙い。基礎控除は最低限の生活保障を目的に1947年に創設され、一貫して引き上げられてきたが、実現すれば初の減額。与党の税制調査会で議論する。

 所得税を計算する際、税負担を軽くするため、年間収入から一定額を差し引いた額に税を課す。この「差し引く」際に用いるのが控除で、目的に応じて設けられている。控除額が減れば、算出される税額は増える。収入があるすべての人に適用される基礎控除が創設された当時は、生活に最低限必要な食費などを基に控除額を設定。だが、政府税調は15年にまとめた論点整理などで、非正規雇用の増加などで所得格差が拡大していると指摘。基礎控除などの役割見直しを提言した。

 政府・与党はサラリーマンらに適用される給与所得控除を高所得者を中心に縮小する一方、低所得者などの基礎控除を引き上げる案も検討中。給与所得控除は自営業や請負契約で働く人は受けられないので働き方の多様化に対応する。給与所得控除と基礎控除の縮小で高所得者は増税が重なるがそれで得られた財源を基礎控除引き上げに充てる。

 給与所得控除の縮小は、増税となる年収水準を800万〜900万円とする案などが浮上。子育て世帯には税負担が増えない仕組みも検討している。ただ、高所得層の線引きを巡っては与党内でも意見が割れており、基礎控除が減額となる年収水準の議論も難航する可能性がある。【中島和哉】

配信11/23(木) 7:40
毎日新聞
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