新東名「あおられた」 最高速110キロに潜む問題

 新東名高速の新静岡インターチェンジ(IC)―森掛川IC間(約50キロ)で、乗用車などの最高速度を100キロから110キロに引き上げる試行が始まってから12月1日で1カ月になる。
 便利になると見込まれる一方、大型トラックなどは現行の80キロに据え置かれたまま。
 ドライバーらからは新たな「30キロ問題」への不安の声があがり始めた。

 新東名はもともと最高速度120キロを想定して造られ、片側3車線の区間が多く、運転しやすいと言われる。
 旅行帰りに利用した埼玉県春日部市の会社員高原康志さん(35)は「10キロ上がっただけですいすい進めた。急いでいる人にはありがたい」と話す。

 一方、試行では大型トラックなどの最高速度は上げなかった。
 区間を管轄する静岡県警によると、貨物を載せているため、速度を上げると走行が不安定になったり、制動距離が長くなったりする可能性があることを考慮したという。
 この措置で、乗用車などの最高速度との差は従来の1・5倍の30キロになった。

 京都の運送会社で大型トラックなどの運転手を務める稲森雅幸さん(39)は、この30キロの差を懸念する。
 「今まで十分だった車間距離も速度が10キロ変わるだけであっという間に後ろから来る乗用車に詰められる。より神経を使うようになった」。
 数日前にも区間内で車線変更した際に後続車に急接近され、数百メートルにわたってハイビームであおられたという。
 「のろのろ走っているように見られがちだけど、これ以上はスピードが出ないことを知ってほしい」

 新静岡―森掛川間は事故率の低さもあって試行の対象となったが、県警も速度差の広がりで危険性は高まると認識している。
 対策として、3車線が10キロ以上続く区間では大型トラックなどが通行できる車線を左端に指定。
 乗用車などと「区分」するようにし、案内の標識も新たに設けた。

朝日新聞デジタル 11/30(木) 11:32
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