愛車のアクセル全開で憂さ晴らし 奥田碩 トヨタ自動車副社長(当時)

■日経ビジネス1995年7月17日号の記事から。
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【見出し】愛車のアクセル全開で憂さ晴らし 奥田碩 トヨタ自動車副社長(当時)

【本 文】
 奥田さんが高速道路を走る時、行く手を阻むのは空気の壁だけだ。ノロノロ走る車が前にいると、車間距離をぐっと詰め、パッシングの連続で押しのける。走るのは当然、右端の追い越し車線。アクセルは全開が基本だ。
 愛車はトヨタのアリスト。排気量4000ccのV型8気筒、エンジンは260馬力。世界でも有数の超高速走行が可能なセダンが休日の足だ。「羊の皮をかぶった狼」が奥田さんの野生を呼び覚ますという。
 「スピードは麻薬。高速で走っていると、脳の中で気持ちを高ぶらせ、快感に導く物質が分泌されるようだ」。自社のテストコースを時速200km以上で走る機会がよくある奥田さんにとって、普通の道路上の走行は苦痛に感じることすらあるという。
高速では常に右端の車線を走るのはこのためだ。
 普段の通勤の足は役員専用の黒塗りの車。スピードに魅せられた奥田さんは「トロトロ走る役員車に乗っているとイライラする」と言う。思わず運転手を怒鳴ってしまうこともある。
 イライラは今回の日米自動車交渉でも同じだったようだ。交渉は政府間の話し合いなので、メーカーの思惑通りにはいかなかった面もある。憂さを晴らしに、愛車のアクセルを踏み込む機会が増えたようだ。
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Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)