大和朝廷征服論

『日本書紀』以来、彼らは古くから蝦夷(えみし)と呼ばれ、本来原住民族であった縄文人は、
稲作文明を持って来た倭人の到来によって東北地方に追われ、またこの渡来人の国家建設と共に、
倭人が北上し日本列島を征服した結果、蝦夷の住処はだんだんと少なくなり、ついに北海道の一角に追いやられました。
その蝦夷の領域を、中国大陸や朝鮮半島から南下した武力に勝る倭族や加羅族または南西諸島を北上してきた隼人族や呉族系により、
日本列島の西側から東側に次々と小国家を造り、支配者になりました。それが邪馬台国や伊都国、狗奴国などの「倭の国々」だったのです。
そして誓約(うけい)の儀から始まる古事記や日本書紀の壮大な物語は、
天皇家の自己の存在の正当化のために大和朝廷が土蜘蛛退治と称し先住民族を武力で征服した歴史を
都合良く「天孫降臨伝説」として神格化して創造したフィクションなのです。
天皇家の先祖は、外から大和の地に入り、それ以前から気候や風土を自然信仰して来た元々の住民を打ち倒して、それに取って変わったと考えるほかありません。
大和朝廷すなわち天皇家とそれに仕える貴族が、始祖王の出生と日本を統治するようになった由縁を、
あたかも悠久の昔から日本の統治者であったと言うことを強調するために過去の歴史に遡らせて実在しない天皇を創造し
初代神武天皇の橿原宮での即位、神武東征以降から9代目の開化天皇の春日率川宮での即位まで崇神天皇以前の歴史を記紀として編纂させたと言われています。