http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/k10011249071000.html

北海道から北陸にかけての日本海側で、北朝鮮から来たとみられる木造船の漂着が相次いでいます。乗組員が上陸した無人島の建物からは、家電製品などがなくなっていることが分かりました。あれ? なんで無人島に建物が? 家電が? 「無人島」と聞くと、何もかもない絶海の孤島を想像してしまいますが、取材してみると、さまざまな“個性”にあふれ、島国日本で大きな役割を果たしていることが分かってきました。(ネットワーク報道部記者 郡義之 栗原岳史 飯田耕太)

舞台は「松前小島」

北朝鮮から来たと見られる木造船が日本国内に漂着したり、周辺で漂流したりするケースは、海上保安庁によりますと、11月だけで28件確認されました。月別の数として、データがあるこの4年間で最も多くなっています。

そして、警察などによりますと、島にある小屋は内部が荒らされた状態で、テレビや冷蔵庫、洗濯機、バイクなどがなくなっているということです。

なぜ無人島に小屋?

このとき、ふと疑問がわきました。

「どうして無人島に港や小屋、家電製品があるんだろう?」

地元の松前さくら漁業協同組合などに尋ねてみました。松前小島は、松前町から南西におよそ23キロ、周囲4キロほどの島で、周りには豊かな漁場が広がり、夏は昆布漁などが行われます。地元の漁業者は日帰りで操業することが多く、漁業の拠点や、大しけの際の緊急避難先として、無人島に港が整備されているそうです。そして、漁協が所有する管理小屋と発電機小屋、さらに倉庫とトイレの4つの建物があり、海上保安本部が管理する灯台もあります。

漁協の幹部は「漁場から元の港に戻るには時間がかかる。島に寄って漁具を修理したり体を休めたりできるのでとても助かっている」と話しています。

松前小島には十数年前まで、毎年春から秋にかけて夫婦が住み込み、漁港や小屋の管理を行っていました。

その後、高齢化などで住む人がいなくなり、今は、町から委託を受けた漁業者の男性が年間50日ほど寝泊まりし、管理や物資の供給をしているということです。

このため小屋には、テレビや冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、ガスコンロ、ストーブのほか、食器や布団、着替え、防寒用のジャンパーが入ったバッグ、発電機や小型バイクなど、滞在に必要な生活用具一式がそろえられていたということです。

北海道によりますと、さらに沖にある「松前大島」という無人島も、漁船が避難できるよう、港を建設しているということです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/K10011249071_1712062222_1712062224_01_02.jpg
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171206/K10011249071_1712062222_1712062224_01_04.jpg

>>2以降に続きます