https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/img/d_10796352.jpg

神戸・三宮の高層マンション「アパタワーズ神戸三宮」(20階建て)で、外壁のタイルが次々とはがれ落ちたり、下地から浮いたりする施工不良があったとして、住民らが施工側に対し、補修工事費用など約2億4千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴することが7日、分かった。築11年9カ月の時点でマンションの外壁約15%に問題が見つかったという。このマンションでは完成2年後の2007年に耐震強度偽装が発覚、補修工事が行われた。

 請求先は、施主の「アパホーム」(金沢市)や建築下請け会社など計3社。問題が最初に見つかったのは15年3月で、14階バルコニーのタイルが幅約1・5メートルにわたってはがれ、4階のベランダに落下。重さは20キロ以上とみられる。

 住民らでつくる管理組合から補修を委託された別の建築会社が調査したところ、タイルのはく落や、はがれやすい「浮き」の状態の割合は、14・86%に上ることが判明。最も割合の高い建物南側では35・75%を占めたという。

 訴状によると、施工側はタイルはく落や浮きについて「経年劣化」と説明。住民側は1級建築士ら複数の専門家の調査を基に、(1)タイルに塗ったモルタルの吸着力を高めるため、下地のコンクリートに細かな傷を施す「目荒らし」をしていない(2)下地の清掃処理が不十分(3)モルタルが固まる前に乾き硬化不良(ドライアウト)を起こした−などの施工不良が原因とする。

 住民側は専門家の意見を踏まえ「築10年後のタイル劣化が3〜5%であれば経年劣化と判断できるが、同マンションは10%以上に上り、経年劣化とは到底言えない」と訴えている。

 アパグループは神戸新聞社の取材に「対応を協議しており、コメントは差し控える」とした。

 補修工事は住民側が既に実施し、劣化した外壁を張り替えた。タイルはく落によるけが人はなかったが、隣接するレンタカー会社の車庫の屋根を突き破る被害があった。(篠原拓真)

【耐震強度偽装問題】2005年11月以降、アパグループなどのマンションやホテルで、地震に対する安全性などを記した構造計算書の偽造や、建物の強度不足が全国的に判明。神戸では07年5月、「アパタワーズ神戸三宮」などで耐震強度偽装が発覚した。神戸市の調査で、建物全体の十数%に当たる約500の部材で、鉄筋の量が足りないなどの強度不足が分かり、14年4月にマンションの耐震補強工事が完了した。

配信2017/12/7 06:00
神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010796351.shtml