■市「預金93万円のうち53万円は収入」 道「説明、助言が不十分」

 札幌市が、同市白石区の生活保護受給者の女性の貯蓄を収入と認定したことに対し、女性が行政不服審査法に基づき行った審査請求で、請求を受けた道は4日までに、市の処分を取り消す決定をした。受給者を支援する全国生活と健康を守る会連合会(東京)は、貯蓄を収入と認定しないよう求める審査請求自体が珍しいという。専門家は札幌市の対応を疑問視する。

 裁決書などによると、女性は2008年から生活保護を受給。家電製品の買い替えや将来への不安から保護費をやりくりし、昨年7月時点で預金と定期積金の計約93万円を保有していた。

 市の担当者は購入予定の家電製品の価格を積算し「容認できるのは40万円程度まで」とし、差額の約53万円を収入として認定。昨年9月から6カ月間、保護費を減額した。女性は昨年11月、これを不服として道に審査請求した。

 国は、保護費のやりくりで生じた貯蓄の保有を原則認めた上で、生活保護の趣旨や目的に反する場合は収入に認定するなどとしている。実際の運用は自治体によって異なり、例えば釧路市では、家電製品の買い替えなどに備えた貯蓄のほかに、保護費の6カ月分相当の貯蓄を認めている。

 道は札幌市の対応について「受給者に尽くすべき説明や指導、助言が十分とは言えない」と指摘する。札幌市保健福祉局は「裁決書を精査しているが、道の決定に従う」という。

配信12/7(木) 6:01
北海道新聞
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