2017年12月06日水曜日

 JR東日本と気象庁気象研究所は5日、雨粒の動きから空気の渦を探知するドップラーレーダーを使って突風を事前に予測し、列車の運転を規制する新システムを19日から、山形県庄内地域を走る羽越線と陸羽西線に導入すると発表した。

 山形県庄内町で2005年12月に起きたJR羽越線特急転覆事故を受け、共同研究を進めてきた。ドップラーレーダーによる列車の運転規制は世界初となる。

 JR東などはJR余目駅(庄内町)の屋上に設置したドップラーレーダーなどで、冬の庄内地域に突風をもたらす上空の渦を探知し、風の速さや進路を事前予測する方法を研究。今年3月に酒田市黒森に新設した高性能レーダーも活用し、突風を事前探知する仕組みを開発した。

 同社によると、新たなシステムは高性能レーダーから半径30キロ圏内にある羽越線の五十川−女鹿間、陸羽西線の余目−清川間が対象。事前に探知した突風の情報を列車の運行を管理する指令室に伝え、必要があれば、指令員が運転士に運転の中止を指示する。

 高性能レーダーや運転規制システムの整備にかかった費用は約4億8000万円。高性能レーダーは半径60キロまで観測でき、同社はデータを蓄積した上で運転規制エリアの拡大の可否を判断する。気象研究所と竜巻などにも応用できるシステムの研究も進める。

 事故は05年12月25日午後7時14分、羽越線北余目−砂越間で特急いなほ14号(6両編成)が脱線転覆し、乗客5人が死亡、乗員2人を含む33人が重軽傷を負った。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)は08年、原因を「列車右側からの局所的な突風」と結論付けた。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201712/20171206_53039.html
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