調査地点から出てきた人骨などの埋蔵物=福井県敦賀市大蔵で、高橋一隆撮影
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改葬公告の立つ墓跡で発掘作業をする人たち=福井県敦賀市大蔵で、高橋一隆撮影
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 北陸新幹線の建設工事に伴って県が行った発掘調査で、敦賀市内の調査地点から気比神宮の歴代神職のものと見られる墓跡が見つかったことが分かった。県埋蔵文化財調査センターによると、同神宮の関係者の墓に関する調査はこれまでほとんどないという。関係者や市民からは「このまま壊してしまっていいのか」「きちんと調査してほしい」といった声が上がっている。【高橋一隆、近藤諭】

 墓跡が見つかったのは、ラムサール条約に登録されている中池見湿地(同市樫曲)にほど近い大蔵地区の山中。同神宮から真東に約1・5キロの場所に当たる。橋脚の建設予定地で、同センターが今年8月から約4カ月間、周辺556平方メートルで発掘調査を進めていた。

 同センターによると、かめ棺2個と人骨1人分のほか、多くの石造物が見つかった。センターは現在、調査・記録を進めており、今月中に報告書(概報)にまとめる予定だ。

 担当する同センターの田中勝之主任は「中世と近世の気比神宮の神職の墓だと類推される」と解説する。

 先月には、同神宮の氏子青年会が遺構を見学。「発掘を知ったのが遅かった。このまま壊されるのか」などと、残念がる人もいた。

 中池見湿地の環境保全に取り組むNPO法人ウエットランド中池見の笹木進さんは「歴史上の重要な発見があるかもしれない。しっかりと調査して成果を公表し、適切な保存方法などを検討してもらいたい」と話している。

毎日新聞 2017年12月7日 地方版
https://mainichi.jp/articles/20171207/ddl/k18/040/278000c