満鉄に勤めている弟が出張のついでだといって家に寄った。久々に酌み交わす。
どうやら元気でやっているようだ。
満州のめざましい発展の様子などを息子に縷々話してくれており、息子も目をまんまるにして聞いている。
そうやってにぎやかなひと時はすぎて、二人になり、しばらく話していると、ふと
「今度の戦争はだめだ」と言う。私はつい反射的に「そんはことはない」と語気を強めて
しまい、結局それきりになってしまったが、弟はやや不満げであった。