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■中立的な立場とは言い難いWHO 
 あまり知られていないが、WHOはゲイツ財団や製薬企業などから多額の寄付を受けている。
たとえば10〜11年の総予算4945億円は、7割が任意の寄付、加盟国の分担金はわずか2割だ。
寄付金の大半は加盟国や国連機関によるものだが、最高額の寄付者は
ゲイツ財団で455億円、
GAVIも101億円、
GSKはワクチンなどの現物と金銭で計82億円相当を寄付している。

WHOはゲイツ財団や世界銀行とともにGAVIの常任理事でもある。
さらに、09年にはGAVIを通じて最貧国に供給すべき有効で安全な薬としてガーダシルとサーバリックスを「事前認定」しており、中立な立場とは言い難い。
冒頭のシンポジウムで、やはりHPVワクチンの推奨機関として紹介されたCDC(米国疾病予防管理センター)に至っては、ジュリー・ガーバーディング前所長(任期02〜09年)が
10年にMSDの親会社メルクのワクチン部門トップに天下りする癒着ぶりだ。

GAVIの資金調達機関IFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティ)は、欧州など9ヵ国からの寄付金を担保に世界で4600億円のワクチン債を売り上げた。
約半分は08年以降、大和証券を中心に日本で販売された。
同社広報部の瀬戸真一氏は「無償奉仕ではない、ビジネスの仕組みの中での持続可能な社会貢献」と胸を張る。若い層の関心も高いという。
たしかに「命を救うワクチン」や「投資で社会貢献」は甘美な響きだが、市場インセンティブを前提とする「創造的資本主義」に官も民も専門家も市民までもからめとられてしまっては、誰が客観的な監視や判断を行なうのか。
まずは落ち着いて、ワクチン被害の可能性と治療に向き合うべきだ。