日本が導入する巡航ミサイル
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政府が長射程の巡航ミサイルを導入する方針を決めた。航空自衛隊の戦闘機に搭載する対地・対艦ミサイルとして、防衛省が平成30年度予算案に関連費用を計上する。弾道ミサイルの発射元をたたく「敵基地攻撃」にも活用できる装備だが、当の防衛省は「敵基地攻撃が目的ではない」と必死に否定する。画期的な新装備導入を決断した割には腰が引けた説明がちぐはぐな印象だ。

 「あくまでわが国防衛のために導入するもので、敵基地攻撃を目的としたものではない。敵基地攻撃能力は日米の役割分担の中で米国に依存しており、今後とも日米の基本的な役割分担を変更することは考えていない」

 小野寺五典防衛相(57)は8日の記者会見でミサイル導入を発表した際にこう述べ、事前に練り上げた答弁要領に沿って「敵基地攻撃が目的ではない」との見解を強調した。

 導入するミサイルは3種類だ。「JSM(ジェイエスエム)」はノルウェー製で、対艦と対地の両方に使える。最新鋭ステルス戦闘機F35Aに搭載し、33年度中の導入を目指す。

 米国製の「JASSM(ジャズム)」は対地用で、「LRASM(ロラズム)」は対艦がメーンだが対地攻撃も可能だ。ともに射程は900キロで、F15戦闘機かF2戦闘機への搭載を念頭に、機体改修の調査を30年度に行う。

 これらのミサイルの導入がインパクトを持つのは、これまでにない長射程の攻撃が可能になるからだ。

 例えば空自の対艦ミサイルASM2は射程170キロとされ、JSMなら約3倍、JASSMやLRASMでは5倍以上に延びる計算だ。対地ミサイルなので当然、敵国の領土内のミサイル基地などを攻撃する目的でも使える。計算上は、日本海の真ん中あたりから撃てば、北朝鮮の全土が射程に収まる。

 しかし防衛省は、敵基地攻撃との関連性を強く否定する。取得目的として「敵の探知範囲や射程といった脅威圏外から、わが国に侵攻する水上部隊や上陸部隊に対処することで、より効果的かつ安全に各種作戦を行うことが可能になる」(小野寺氏)として、あくまでも敵の侵攻を防ぐ「守り」にフォーカスした運用を強調する。

 ミサイルの名称も、敵の射程圏外から発射できることを示す「スタンドオフ・ミサイル」との呼称で統一しており、メディアが用いる「巡航ミサイル」との表現は避けている。巡航ミサイルという名称には、米軍のトマホークミサイルのように攻撃的なイメージがまとわりついており、「人聞きが悪い」からだろう。

 無理からぬ事情はある。政府は過去にも巡航ミサイルの導入を試みたが、連立与党の公明党から「専守防衛の枠を逸脱するおそれがある」といった反対論が上がって見送りを余儀なくされた経過もあり、対外的な説明には過敏にならざるを得ない。

 また、今回のミサイル導入が直接、敵基地攻撃に結びつくわけではないのも確かだ。

 「敵基地攻撃は単にミサイルを撃ち込めばいいというものではない。目標の動向を捉え、対空ミサイルなどの脅威をくぐりぬけたうえ、攻撃がどの程度の効果をもったのかという被害評定をしないといけない」。防衛省幹部はそう語る。そのためには目標の動向を捕捉する偵察衛星など、多くの装備が必要になる。このため巡航ミサイルの使い道も、おのずと「守り」に限定されるというわけだ。

 しかし、敵基地攻撃に必要な装備をすべて自衛隊だけでまかない、自己完結するという前提は不自然でもある。米国は敵基地攻撃に必要な兵器を豊富に保有している。日米の協力のもと、部分的に自衛隊が敵基地攻撃に限定して打撃力を行使するという運用のほうが、より自然だともいえる。

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■巡航ミサイル 翼を持ち、主にジェットエンジンで推進する無人誘導のミサイル。放物線を描いて落下する弾道ミサイルと異なり、低空を飛ぶためレーダーに捕えられにくい。射程が長く精度が高いことが特徴で、艦船や地上の重要施設への限定的な攻撃に使用される。

配信2017.12.13 08:00
産経ニュース
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